三菱食品がデジタル人材増強へ。23年までに社員の2割を育成
三菱食品がデジタル人材の育成を加速する。デジタル化による業務改革などをテーマにしたプロジェクトを通じた育成に着手した。併せてプロジェクトに携わる社員を対象にオンライン学習サービスを受講させ、必要な知識の習得を促す。2023年度までに社員の2割(約1000人)以上を育成する計画で、人材育成を進めることでデジタル変革(DX)を推進するための基盤を整える。
三菱食品は、21―23年度の中期経営計画でデジタル活用による業務効率化、需要創造を主要テーマの一つにしている。これに並行して、デジタル技術を活用して業務効率化できる人材を「デジタル人財」と位置付け、デジタル人材の育成を進めている。
社内でデジタルプロジェクトを立ち上げ、プロジェクト化前からの取り組みも含む約70のプロジェクトを展開中。同プロジェクトへの参画を通じてデジタルスキルを有する人材を育成する計画だ。
「デジタル人財」像を「システム開発」「業務改革」「データ分析」「DX推進」の四つに分類。情報システム系で基幹システムを担う社員を含め約500人が参画する。プロジェクトへの参画を通じた育成に加え、オンライン学習サービスによるスキルアップを促す。
数多くある講座の中から、分類に応じて会社側が指定した講座を受ける。オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)とオフ・ザ・ジョブ・トレーニング(Off―JT)の両面で能力を高め、DX推進を目指す。
インタビュー/執行役員CDO兼デジタル戦略本部長・山本将毅氏 人中心のDX、まだ“入り口”
デジタル人材の育成を進める三菱食品。山本将毅執行役員最高デジタル責任者(CDO)兼デジタル戦略本部長に取り組みや展望などを聞いた。(編集委員・大友裕登)
―「デジタル人財」の育成で定量目標を掲げています。「『デジタル人財』とはデータサイエンティストとか、そういう人たちだけではない。デジタル利活用人材であり、対象は全員」
「デジタルプロジェクトに関わる人が400人。それに、デジタル化で重要なのは情報システム系で基幹システムを担っているのが100人いるので広義では500人いる。(中期経営計画期間の)3年をかけて、この500人を倍にする」
「そこにいきたいとは思っている。でもそんなに簡単ではない。まだまだ入り口に立ったレベルだと思っている。まずは、地に足をつけた活動をする。重要なのはパーパス(存在意義)。『食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する』ためにデジタル。パーパスなくしてはDXは無理だと思う」
―デジタル化の取り組みで重視していることは。「やりながら思っているのは、やはり人材が大事。人中心のDX。例えばRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)で人がいらなくなるのではなく、RPAで面倒な業務を自動化でき、人が本来やらないといけないところで知恵を絞ったり、成果をあげていく。それは、人から与えられるのではなく、自分でみつけて自分でチャレンジするところだと思う。『自分の能力、スキルでこういうことができる』と手を挙げてもらいたいし、そういう人がプロジェクトに参画していく。それが、その人物の評価につながっていくといい」