コロナ禍でも来春採用に積極的な業界はどこだ?広まる「デジタル人材」獲得競争

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マイナビが開催したオンラインの合同企業説明会に参加する採用担当者(1日)

新型コロナウイルス感染拡大で、サービス業など2022年春の新卒採用を抑える動きが広がる。一方で旺盛な採用意欲を示す企業も少なくない。リクルートキャリアによると22年大学卒業予定者の就職内定率は1日時点で17.6%と13年卒からの調査開始以来、過去最高となった。コロナ禍がもたらすニューノーマル(新常態)を見据え、企業にとって人材獲得の重要性はむしろ増している。

デジタル人材への採用意欲は依然として高い。富士通、NECはデジタル変革(DX)関連などの高度な専門性を持つ人材の獲得に向け、通年での中途採用を積極化。富士通は20年度に中途採用を300人に倍増し、21年度計画も300人以上と高水準。NECは採用計画をまだ決定していないが、傾向は富士通とほぼ同じだ。

NTTデータもデジタル需要の高まりで人材確保を強化。21年度の新卒・中途採用数は19年度実績比で約3割増となる。東芝はグループ全体で22年4月新卒者を20年度計画比で7・7%増の1260人採用する。東芝単独では同11・4%増の390人となる。

通信業界の新卒採用も高水準が続く。NTTドコモは21年4月新卒の当初計画(結果的に425人)と同じ400人の採用を予定。ソフトバンクも21年4月入社予定の約450人と同水準を見込む。両社ともに法人向けソリューションやフィンテック(金融とITの融合)といった非通信分野の成長を重視しており、新サービスの開発などを担う技術者の確保に取り組む。

KDDIも21年度と同規模の260人を継続する。加えてジョブ型採用枠を採用予定数の5割に拡大。21年度中の中途採用も過去最大の190人に増やす。DX事業の拡大に向け、専門性の高い人材の採用を加速させる。

情報通信産業以外でもデジタル人材の確保が欠かせない。アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュが経営統合し4月に始動するアイシンでは、22年4月の新卒採用は315人を計画。21年と同規模を維持し、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)などの対応に向けて将来を担う人材を確保することが重要と捉える。

製薬業界も積極的な採用を続ける。中外製薬の22年4月の新卒採用は、前年から約60人増を見込む。協和キリンも事業の成長に向けて優秀な人材を確保するとして約10人増を見込む。武田薬品工業とアステラス製薬も増加を見込み、第一三共は同水準を維持する。

将来に備えて安定的に人材を確保したいという狙いもある。三井化学は22年4月入社の大卒・大学院卒の総合職採用について、21年4月入社とほぼ同等の80―90人とする。DXに加え、自動車やICTなどの分野で成長を目指す中、優秀な人材確保に努める。安川電機は景気に左右されず、毎年70人強を確実に採用。00年ごろのネットバブル崩壊で採用を絞り込み社員構成がいびつになった経験から、人材確保を重視しているという。

日刊工業新聞2020年3月10日

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デジタル人材

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