りそなHDの人事制度、13年ぶりに刷新した狙い
フィンテックなど専門人材の育成が急務
りそなホールディングス(HD)は13年ぶりに人事制度を刷新し、複線型と呼ぶ新制度を4月から導入した。従来の4分野からのキャリア選択を新制度では19コースから選べるようにしたのが特徴で、社員に高い専門性を身につけてもらうのが狙い。背景にあるのは金融業界の大きな構造変化だ。銀行員は支店長を目指すのが定番で、人材育成もゼネラリスト型だったが、フィンテック(金融とITの融合)などデジタルサービスの競争激化で専門性のある人材が必要になっている。
「データサイエンティスト」「DXスペシャリスト」―。「渉外・融資外為人財」のような基本的なコースに加え、新制度ではデジタル人材を意識した内容が目立つ。社員は6月までに希望コースを申告する。合致する部署に必ずしも異動できるわけではないが、かなうよう配慮する。その後は希望コースを随時変更できる。
キャリアフィールドと呼ぶ従来制度は「個人ソリューション系」など大まかで、具体的なキャリアを想像しづらかった。細分化することで専門人材育成を重視するとともに、社員には明確なキャリアビジョンを持ってもらう。また採用戦略でもあり、関口英夫執行役人財サービス部長は「デジタル変革(DX)などの力を持つ方に興味を持ってほしい」と中途採用の応募増を期待する。
一律60歳だった定年制も同時に見直した。最長65歳までで、定年時期を自ら決められるようにした。新制度で専門人材が育ち、彼らが将来より長く働ける環境を整える。
顧客のニーズが多様化し、DXの波が金融業界にも押し寄せる中、「全員が(顧客の)困り事を解決するプロ」(関口執行役)となることを目指す。
日刊工業新聞2021年4月20日