宅配の常識が変わる!? 日本郵便「配送ロボ」実用化への道筋

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日本郵便はZMPの配送ロボット「デリロ」を用いて公道走行実証実験を実施。人通りの多い場所でもスムーズに走行していた

公道・マンション実証進む

宅配の常識が変わるかもしれない。日本郵便は荷物をロボットで配送する仕組みの数年後の実用化を目指している。公道とマンションそれぞれで、荷物を載せたロボが目的地に届ける実証実験に取り組んだ。配達員不足の中、ラストワンマイル(目的地までの最後の区間)の負担は大きい。さらに、コロナ禍の巣ごもり消費で、宅配需要は増加が見込まれる。ロボ配送はこれらの解決に寄与するが、実用化には課題もある。(戸村智幸)

日本郵便が2020年10月に公開した公道での実証。ZMP(東京都文京区)の高さ109センチメートルの機体「デリロ」が、東京都千代田区内を時速2―3キロメートルでゆっくり走行した。開始地点で荷物を積み、目的地までの約700メートルの間、方向転換や信号待ち、横断歩道を渡るなどの動作を無事にこなした。

日本郵便は配達員不足などの解決策として、公道での配送ロボ活用を見込む。五味儀裕オペレーション改革部長は「働き方を抜本的に変える」と期待を寄せる。

23年後半の実用化を目指すが、主に二つの課題がある。監視員が別の場所から、モニター越しに配送ロボの動きを確認する仕組みに関する課題が一つ目だ。映像に遅延が生じると、監視の効果が薄れてしまう。そこで、第5世代通信(5G)の普及と活用が期待される。谷口恒ZMP社長は「遅延が少なくなり、映像の解像度も高まる」と解説する。

二つ目が、歩道を走行する自転車との衝突対策だ。自転車利用者の中には、車道から歩道に突然移るなどの危険な運転もみられる。デリロには自転車を検知して避ける機能があるが、谷口社長は「自転車が急加速して近づいた場合の衝突防止策が必要になる」と今後の改善点を挙げる。

マンションでの配送実証は、21年3月に千葉県習志野市内で公開した。配達先の住人への受け渡しをロボに任せ、配達員の負担を軽減する狙いがある。

香港企業の高さ76センチメートルの機体「ライス」を使い、日立製作所が運行管理、日立ビルシステム(同千代田区)がエレベーター乗降のシステムで協力した。

マンションでの実証実験。配達員がロボに荷物を積む(代表撮影)

ライスはエントランス内で待機しており、配達員が外でスマートフォンの専用アプリケーション(応用ソフト)を操作すると、外まで移動してきた。配達員は3辺合計80センチメートルまでの荷物を積み、配達先の住人に対話アプリ「LINE」で通知すると、ライスはマンションに入って配達を開始。時速1キロメートルで通路を移動し、エレベーターに乗り、配達先住人の玄関に到着。住人が荷物を取り出すと、ライスは待機場所に戻っていった。

配達員は複数の住人を回ることなく、次の配達先に移動できる。日本郵便は投資費用と効果を検証し、24年前半の実用化を目指す。五味部長は「大型のマンションほど投資の効果を得やすい」と方向性を示す。

公道、マンションともに安全対策など課題を乗り越え実用化し、配達問題の解決への寄与が期待される。

日刊工業新聞2020年8月5日

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