半導体装置の納期、部材不足で「1年半待ち」の衝撃

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部品・部材不足が半導体製造装置の納期に影響を及ぼしている。装置メーカーは長納期化を回避するべく対応を急ぐが、このまま事態が深刻化すれば、活況に沸く半導体メーカーの設備投資に冷や水を浴びせかねない。

「この1―2カ月で装置の長納期化の話がだいぶ出てきた」。大手半導体メーカー幹部は危機感を強める。どんな部品が不足しているかは特定できないものの、納期が従来の1年から1年半と半年程度延びているという。同幹部は、「今後は長納期を考慮しながら、工場の増強計画を立てないといけない」と対応を急ぐ。

第5世代通信(5G)の普及、コロナ禍によるパソコンやゲームなどの巣ごもり消費、自動車の生産回復などで半導体需要は急拡大している。「数年前にもボールネジが不足し、装置の長納期化が顕在化した。この1―2年は収まっていたが、2021年に入り装置メーカーが繁忙になり、再び納期の話題が浮上し始めた」(同幹部)。

アドバンテストはテスター(半導体試験装置)に搭載する半導体の調達が厳しくなっており、テスターの納期が通常3―4カ月のところ約6カ月に延びている。吉田芳明社長は「過去経験したことのないような部材不足が起こっている」とし、「例えば(半導体の製造に使う)サブストレート(基板)は2―3年不足が解消できない状況だと聞く」と明かす。自社で使う半導体に加え、サプライヤーの半導体メーカーが製造で使う部材自体が不足しているという。

電子機器製造受託サービス(EMS)事業で半導体製造装置を商材の一部とするOKIは、3月に発生したルネサスエレクトロニクス那珂工場(茨城県ひたちなか市)の火災の影響で半導体調達が困難になっている。同事業を担当する西村浩執行役員は「火災発生後の発注に関してはほぼ絶望的」と嘆く。

6月中旬時点で「ルネサスに納入するための装置を顧客から発注を受けて我々が生産しているが、それに載せる半導体がない」(西村役員)状況だった。下期に入る10月以降、部材不足に伴う生産調整の可能性があり、同事業の年間売上高が最大で現状予想比1―2割減になると予測する。

芝浦メカトロニクスは装置の納期遅れはないが、部材調達が「だんだん厳しくなっている」(今村圭吾社長)という。「直動部品、モーター関係のリードタイムが長くなったことはサプライヤーなどから聞いている」とし、早めの発注を呼びかけるなどで対応している。

一方、東京エレクトロンは「サプライヤーとともに先手先手で対応しており、問題は起きていない」(同社関係者)と断言。取引先を対象にした会合を定期的に開催して今後数年間の生産量の予想を指数で示すなど、サプライヤーと緊密な関係構築に取り組んだことが奏功しているようだ。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「規模の大きいところはバイイングパワー(購買力)がある。中堅以下が綱渡り状態なのでは」と分析する。

キャディ(東京都台東区)が半導体製造装置メーカー担当者32人を対象に実施した調査によると、6割が直近1年間で既存サプライヤーの製造能力を超えたことにより「発注できなかった・遅れが起きた」などの問題が発生していた。機会損失を最小限に抑え、半導体メーカーからの旺盛な引き合いを好業績に結び続けられるか、部材調達力も問われる。


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日刊工業新聞2021年7月30日

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