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絶好調の半導体装置、メーカーの強気はどこまで続く?

絶好調の半導体装置、メーカーの強気はどこまで続く?

ロジック・ファウンドリーに加えメモリー投資がここにきて加速(写真はイメージ)

半導体製造装置メーカーは、今期も絶好調だ。第5世代通信(5G)の普及やIoT(モノのインターネット)など向けの先端半導体用装置の需要がけん引。自動車や家電など向けの旧世代半導体用装置需要も高まっている。今後、リスク材料となるのは、半導体需給バランスの崩れ。半導体メーカーが実需以上に装置の発注を行えば、反動減が生じる可能性があるからだ。ただ、装置市場は中長期で成長する見込みで、各社は強気の姿勢を崩していない。(張谷京子)

「ロジック・ファウンドリー(半導体受託製造)に加え、メモリー投資がここにきて加速してきた。全てのアプリケーションで投資水準が上がった」―。東京エレクトロンの河合利樹社長は、21年の半導体前工程製造装置(WFE)市場の景況感をこう語る。同社は21年の同市場の前年比成長率を1月予想の20%から30%に引き上げた。5Gスマートフォンやデータセンター投資がけん引役。22年3月期の連結業績予想は、売上高1兆7000億円、営業利益は4420億円と、2期連続で過去最高を更新する見込み。

SCREENホールディングス(HD)も、半導体製造装置(SPE)事業で22年3月期の売上高、営業利益が過去最高となる見通し。ファウンドリー大手が計画する先端半導体向けの大型投資に加え、自動車などの旧世代半導体向けの投資が追い風になる。

蘭ASMLは、21年12月期の売上高予想を、1月時点では前年比で2ケタ増収を目標としていたところ、同30%増に上方修正。フッ化アルゴン(ArF)液浸露光装置などの旧式機種の売り上げが当初想定より伸びているとみられる。

アドバンテストは、SoC(システムオンチップ)向け試験装置の需要拡大を見込む。同装置市場において、20年は競合製品を使用するスマホメーカーの試験装置需要が大きく伸び、アドバンテストのシェアは前年比17ポイント減の38%程度になった。一方、21年は「得意な5Gや高性能パソコンの関連の伸びが見込まれており、シェア回復が期待できる」(吉田芳明社長)。

ディスコは、ロジック向けの装置需要が引き続き高水準なほか、メモリー向け装置の需要が足元で回復。22年3月期の業績予想を開示していないが、売上高が過去最高の「2000億円(21年3月期は1828億円)を超える勢いがある」(関家一馬社長)。

ただ、半導体メーカーの旺盛な投資意欲には注意も必要だ。過去には、半導体需要の逼迫(ひっぱく)を受け、半導体メーカーが実需以上に設備投資を実施。その結果、装置メーカーは、引き合いや受注後に装置の注文をキャンセルされたことがあるからだ。

それでも、東京エレクトロンの笹川謙ファイナンスユニットジェネラルマネージャーも「現状は顧客の数が絞られてきたこともあり、懸念はない」と分析する。半導体業界は過去数年で再編が進み、半導体メーカー数が絞られている。業界全体で市場予測が立てやすくなっているようだ。

米SEMIが公表した20年12月時点の市場予測では、世界半導体製造装置販売額が20―22年の3年連続で過去最高を更新する見込み。


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日刊工業新聞2021年6月3日

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