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コロナで相次ぐ「ラーメン店」倒産。老舗フランチャイズが100年の歴史に幕

得意先の“町中華”衰退

中華麺の製造販売を主体に、ラーメン店「元祖札幌や」のフランチャイズ展開を行っていた南京軒食品(東京都品川区)が、4月21日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。

同社は1914年に創業。中華麺の製造販売を主体に野菜や肉、調味料などの食材や、中華鍋や寸胴などの厨房(ちゅうぼう)機器の販売、さらには「元祖札幌や」のフランチャイズ本部の業務を手がけていた。中華麺については、アイテムだけでも300種類を超えるなど100年以上におよび積み重ねた独自の製麺技術により、東京、神奈川、埼玉の中華料理店やラーメン店など約2000軒の得意先を有し、2010年2月期には売上高約12億4800万円を計上していた。

しかし、同社の得意先の9割以上が個人営業のラーメン店や中華料理店だったため、閉店や廃業・倒産が相次いでいたことなどにより、17年2月期から19年2月期まで3期連続で減収となり、当期損益も3期連続で赤字となるなど業績が悪化していた。

こうしたなか20年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により緊急事態宣言が発出され、得意先であるラーメン店や中華料理店が時短営業や休業を行ったことで受注が落ち込み、同社の売り上げも約4割減少するなど資金繰りが急速に悪化。金融機関からのコロナ融資でしのいでいたものの、資金繰り悪化に歯止めがかからぬなか、資金調達も限界に達したことから自主再建を断念し、法的手続きにより再生を目指すこととなった。

20年は、1年間でラーメン店の倒産が46件発生。過去20年間で最多となった。今年も年明けから厳しい環境が続いている。ラーメン店が厳しければ当然、同社のような中華麺製造販売業者や他の食材卸業者、その他関連業者への影響は避けられない。今後、関連業者にまでさらに倒産が拡大していくのか、当面の動向が注目される。

(帝国データバンク情報部)
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日刊工業新聞2021年7月29日

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