今冬の電力不足で悲劇、調達価格の急騰が生んだ倒産劇

電力販売のF―Power、自主再建を断念

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F―Powerは、2009年4月に設立された。自社では発電設備を持たず、契約発電所や大手電力会社、また日本卸電力取引所(以下JEPX)などから電力を調達。沖縄県を除く全国で営業を展開し、官公庁や民間企業向けに、オフィスビルや工場、物流センター、大型スポーツ施設などに使用される高圧電力および特別高圧電力、また一般家庭向けに低圧電力の販売を手がけていた。

18年4月には契約電力が400万キロワット以上となり、新電力で一時的ではあるが最大手に浮上し、ピーク時の19年6月期には年売上高約1606億1300万円を計上していた。

しかし、18年6月期および19年6月期において、夏場・冬場の電力需要時にスポットでJEPXから仕入れた際に相場価格の高騰などがみられ、大幅な逆ザヤが発生。2期連続で100億円を超える大幅な赤字となり、19年6月期末時点で純資産がマイナス79億9600万円と債務超過に陥ることとなった。

こうした業績悪化を受けて、この間、同社に対する警戒感が高まり、別の新電力事業者に契約を変更するケースなどもみられ始め、19年の春頃には一部で同社の経営破綻が取り沙汰されるようになるなど信用不安が広がっていった。

こうしたなか、今冬の液化天然ガス(以下LNG)燃料不足や厳寒に端を発した電力逼迫(ひっぱく)に伴い1月の電力卸売市場の調達価格が急騰。電力を調達できなかった際、その穴埋めをしてくれた電力会社に対し、ペナルティーとして合計約197億円の巨額のインバランス料金支払いが発生することとなった。

経済産業省は事業者に対する救済措置として、今年4月から12月までの最大9カ月間、インバランス料金の分割支払いを許可していたが、その巨額さのあまり、やむなく自主再建を断念し、法的手続きにより再建を目指すこととなった。

日刊工業新聞2021年6月17日

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