与信判断から太陽光発電まで。リース大手で広がるAIの生かし方

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オリックス子会社は太陽光発電所をドローンで空撮してAIで分析

リース大手が人工知能(AI)の業務への活用を広げている。典型的なリースから太陽光発電まで、AIに一部を任せることで業務を効率化している。人間は高度な業務に集中できる利点がある。(戸村智幸)

リコーリース 与信、自動回答増やす

リコーリースはリースの審査業務の与信判断に2018年にAIを導入。審査の自動回答率は直近で30%に達した。顧客企業が事務機器や情報通信機器をリース契約したら料金を支払えるか審査し、可否を決める際、一部をAIが判断している。

与信判断へのAI活用は、同社によるとリース業界初。AIはリコーの技術を採用した。リコーリースでは、約40万社の顧客のうち、中小企業が98%を占める。信用調査会社から信用情報を取得できない会社も多い。そのため、審査では元々、過去の実績データをスコアリングし、それを参考に一部を自動回答していた。

そこにAIを追加。過去10年分の審査実績をAIに学習させ、審査できるようにした。月間約3万件の審査における自動回答率は、AI導入前は20%程度だったが、足元では30%に高まった。リコーリースの野田拓也BPT本部IT統括部部長は「人間は判断が必要な案件に注力できる」と利点を説く。

オリックス 太陽光パネル異常診断

オリックスは太陽光発電事業に力を入れており、太陽光発電所の運用・保守(O&M)を手がける完全子会社も持つ。18年設立のオリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント(OREM、東京都江東区)だ。太陽光パネルの異常診断などにAIを活用している。

飛行ロボット(ドローン)で太陽光パネルを空撮した画像をAIで解析し、鳥のふんの付着や損傷の可能性など異常を検知できる。異常があるパネルは発電効率が落ちるため、検知すれば対策を講じられる。ベルギーのソフトウエア会社との提携でこのモデルを実現し、20年にはオリックス以外へのサービス提供も始めた。

このほか、太陽光発電所の稼働状況をリアルタイムにAIで分析し、発電のロスを分類、可視化(見える化)できる。人間では発見できないロスを見つけ、ロスの種類ごとに、修繕すればロスを取り戻せるか提示できる。シンガポール企業のソフトをベースに、自前で機能を加えて導入した。

OREMの百合田和久副社長は「同じ人数でより多くの業務をこなせる」とAI活用の効果を示す。OREMはオリックス以外からのO&Mの受託を伸ばす計画で、AI活用が差別化要因だ。

AI活用による業務効率化やサービスの付加価値向上は、リース大手の事業拡大に不可欠になりそうだ。

日刊工業新聞2021年7月27日

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