伸び悩むカーシェア市場、コロナの逆風にどう対抗する?
新型コロナウイルス感染症拡大がカーシェアリングサービスの普及を足止めしている。これまで拡大基調だったが、2020年度を境に主要企業のステーション(拠点)数は伸び悩み、車両数も減少傾向だ。各社は価格の見直しや新たなニーズへの対応を進め、市場を再成長させる機会をうかがう。(国広伽奈子)
ジェイティップス(東京都渋谷区)の比較情報サイト「カーシェアリング比較360°」によると、タイムズモビリティ(東京都品川区)、三井不動産リアルティ(東京都千代田区)、アース・カー(同)、オリックス自動車(東京都港区)、名鉄協商(名古屋市中村区)、ホンダの主要6社の3月時点の拠点数は計1万7987カ所。過去2年間で最多だった20年7月から、約2・3%減となった。
車両台数も20年4月を頂点に右肩下がりで、同月と比べ21年3月は約4・8%減の3万4887台まで減った。コロナ禍で利用者が外出や観光を控えるようになったことが痛手となった模様だ。
一方、カーシェアリングを密集を避けられる移動手段と好意的に捉える動きもあり、サービス自体の魅力が大幅に低下したと考えるのは早計だ。各社はウィズコロナ対応を進める。国内最大手のタイムズモビリティは4月に料金体系を一部改定。6時間以上利用する場合では、従来と比べて平均28%安くなる。
オリックス自動車は平日限定の定額制サービスを始めた。コロナ禍で送迎や買い物といった短時間利用が増えていることに注目して、利用頻度の高い利用者に適した仕組みを設けた。「エブリゴー」を手がけるホンダは、キャンプ用品を同時にレンタルできる特別企画を始めた。
コロナ禍の変化を機微に捉えてマイナス影響を一時的に抑えられるか、各社の発想力が試されている。
日刊工業新聞2021年4月30日