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JR東海の「リニア・鉄道館」。高速鉄道の進化のシンボルを見逃すな

鉄道の進化を体感

名古屋駅から電車で約30分。JR東海が運営する「リニア・鉄道館」は、テーマパーク「レゴランド・ジャパン」や大型展示施設などが点在する名古屋港金城ふ頭に立地する。2009年に閉館したJR東海飯田線中部天竜駅(浜松市天竜区)構内の鉄道車両博物館「佐久間レールパーク」からも展示車両を移管し、11年3月にオープン。開館10周年を迎えた。

蒸気機関車から在来線、歴代の新幹線車両、リニアモーターカーに至るまで39の実物車両を展示。日本最大級の鉄道ジオラマ、鉄道の運転や車掌体験ができるシミュレーター、鉄道交通の発展の変遷をたどる歴史展示室などが連なる。子どもから高齢者まで幅広い世代が楽しみながら、高速鉄道技術の進歩を学ぶことができる。

入館してまず目を引くのが3種の車両だ。「C62形式蒸気機関車」「955形新幹線試験電車(通称300X)」「超電導リニアMLX01―1」で、いずれも時の世界最速を記録した車両の実物。高速鉄道の進化のシンボルだろう。

奥へ進むと、東海道新幹線開業当初の「0系」以来の新幹線車両をはじめ、在来線や特急などの歴代車両が屋内と屋外に並ぶ。天野満宏館長は「来館者が思い思いに昔を懐かしみ、感嘆する姿が目立つ」と話す。

超電導リニア展示室では走行や浮上の原理など、次世代の鉄道といわれる超電導リニアの技術を解説。体験装置や模型があり、分かりやすい。時速500キロメートルの世界を模擬体験できるミニシアターは迫力満点だ。名古屋駅周辺の高層ビル群をはじめ、東海道新幹線の沿線を再現した鉄道ジオラマも圧巻。夜間の保守作業と併せ「鉄道の24時間」を垣間見ることができる。

来館者は家族連れや鉄道ファンなど、21年5月末で累計約536万人。天野館長は「高速鉄道技術は、先人の英知と努力によって進歩してきた」と力を込める。リニア・鉄道館は安全で信頼される社会インフラとして、連綿と続く高速鉄道の歴史を次代に伝えている。

【メモ】▽開館時間=10―17時30分▽休館日=火曜日(祝日は開館)、年末年始▽入場料=大人1000円、小中高生500円、幼児(3歳以上)200円▽最寄り駅=名古屋臨海高速鉄道あおなみ線「金城ふ頭駅」▽住所=名古屋市港区金城ふ頭3の2の2▽電話=052・389・6100

日刊工業新聞2021年7月12日

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