多くの路線が乗り入れる名古屋駅。快適な乗車を実現するための工夫

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JR東海、在来線特急列車での清掃時の道具確認

JR東海は名古屋と地方を結ぶ在来線特急で快適なサービスを提供するため、清掃作業やダイヤ編成で改良を重ねている。名古屋では同社のドル箱である東海道新幹線に乗り継ぐ乗客も一定数おり、新幹線に負けないレベルの快適な環境が求められる。どのような改良を重ねているのか、中央線などでの取り組みを追った。(名古屋・市川哲寛)

終着駅の名古屋に着いた後、ホームからやや離れた引き上げ線で清掃作業し、名古屋始発として折り返す特急は「しなの」や「ひだ」など1日7本ある。中央線のダイヤ編成を担当する奥岡正弥東海鉄道事業本部運輸営業部輸送課主任は「乗客から特急料金をいただいている以上、きれいにする清掃が必要」とし、折り返しまではゆとりのあるダイヤを組んでいる。ただホームをほかの列車で有効活用するため、清掃は引き上げ線で行う。

東海道新幹線は1編成16両で固定されているが、在来線特急は列車ごとに車両数が変わる上、同じ列車でも繁忙期などに増結して車両数が変わる。また車両数が変われば清掃作業員の数が変わることもあり、作業の手順や流れ、動線が変わる。

清掃作業を担うグループ会社のセントラルメンテナンス(名古屋市中村区)のスタッフである前田浩さんは、「マニュアルで明確にきめ細かく手順などを定め、どの列車でも誰もが作業できる」と強調する。マニュアルは2014年に導入、列車編成が変わる可能性のあるダイヤ改正ごとに更新している。

それでも経験の浅い作業員は戸惑いや苦労がある。そのため「新人と同じ目線での指導を心がけている」(前田さん)。清掃作業は座席転換や窓枠などの拭き掃除、モップやクリーナーによる床掃除など多岐にわたる。車内に持ち込む道具が多く作業後の置き忘れなどで乗客に迷惑をかけることがあった。このため各道具に番号をつけ、誰が何号車から何本持ち込んだか把握できる体制を19年に始めた。

道具は数が減れば作業負担が減り、点検も確実性が増す。「今良ければいいではなく、もっと良いものを求める」(同)とし、掃き掃除と拭き掃除が同時にできるモップなどの導入を検討している。

名古屋駅は東海道線や中央線、関西線など多くの路線が乗り入れている。ダイヤ改正時やトラブルでの遅延発生時などは各線区の担当者間の連携が必要。さらに中央線は名古屋近郊の都市区間と、それ以外の地方区間と「姿が様変わりする」(奥岡主任)特徴があり、特急「しなの」はそこを走り抜けている。

ダイヤ改正では通勤時間帯の都市区間での「しなの」とほかの列車との順序を見直し、遅延が発生しにくくするなどの改善を重ねている。奥岡主任は「利用客からの遅延に対する意見が減った」と手応えを得ている。

同社は在来線の通勤用新型電車「315系」を21年度から順次投入する予定。一定間隔でのダイヤなど利用客に分かりやすいダイヤの実現性が高まり「精度も向上する」(同)と期待する。今後もサービス向上のための取り組みは続く。

日刊工業新聞2020年12月4日

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