性能試験で時速500㎞超え、リニア開業への現在地

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従来型試験車に比べて空気抵抗を約13%抑えた改良型試験車の先頭車

JR東海は19日、リニア中央新幹線「山梨リニア実験線」で、L0系改良型試験車の走行試験を報道公開した。先頭車と中間車を各1両新造し、従来型試験車の編成を入れ替えた。より営業車に近づけた試験車の走行性能を確認するとともに、開業に向けて製作する営業車両の仕様策定につなげる。一方で建設中の品川―名古屋間は、一部区間の着工に地元理解が得られておらず、開業時期は事実上、白紙の状態にある。(取材=小林広幸)

最新知見生かす

試験は時速500キロメートル超で走行。同日の公開後取材に応じた、大島浩山梨リニア実験センター所長は「開業時にやり残したことがないよう検証し、良い車両を作る」と話した。2022年をめどに試験を進め、開業時期をにらみながら、最新の知見を生かした営業車両の製作を目指す。

L0系改良型試験車は8月から実験線で走行試験を開始。従来のL0系先頭車は三菱重工業が開発を担当したが、改良型から日立製作所が引き継いだ。先頭は丸みを帯び、流線形部は凹凸が際立った。これら形状の最適化で空気抵抗を従来比約13%抑制。前照灯や前方カメラの据え付け位置を高くし、視認性にも配慮した。

給電方式変更

外観からうかがえない大きな変更は給電方式だ。従来の試験車では照明や空調、冷凍機など車内で使う電力を車上のガスタービン発電機で走行中に発電していた。改良型試験車では、ガイドウェイに設置した地上側のコイルと車両底面のコイルを対向させて、非接触給電する。これにより軽量化や省スペース化が図れ、燃焼による排ガスも出さずにすむ。

先頭車およびグループの日本車両製造が担当した改良型中間車の客室は営業車両を視野に、乗り心地や居住性の工夫が施された。座席はシンプルな構造ながらも背高で身体を包み込むような形状。USBコンセントや薄型テーブルも次世代車を想起させる。

騒音対策ではアクティブノイズキャンセル(ANC)技術も試す。金子慎社長は15日の会見で「乗り心地を実感してほしい」と訴求していた。

技術すでに完成

超電導リニアを実現する技術はすでに完成したものとされているが、試験中の高温超電導技術が実用化できれば、車載冷凍ユニットの小型化なども視野に入る。超電導技術の開発には多くの日本企業が資源を投じ、研究でも世界をリードしてきた。リニア中央新幹線は日本の超電導技術の象徴とも言える。要素技術の他分野への展開を後押しする点からも可能な限り早期の開業が求められている。

日刊工業新聞2020年10月20日

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