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経産省が「スマート保安」でタイと連携を強化する狙い

経済産業省とタイ工業省は、発電施設やプラントなど産業施設の保安管理体制を高度化するスマート保安分野で連携を強化する。人工知能(AI)や飛行ロボット(ドローン)などを用いる効率的な体制構築に向け、政府間で連携する。さらに民間企業でのビジネス拡大への取り組みを通じて国際協調の可能性を広げる。

具体的な取り組みは22日に日本側で発足した「日タイスマート保安コンソーシアム」を軸に展開する。2021年後半に設立予定のタイ側の事務局と連携し、ビジネス開拓に向けた商談や技術交流、日本からタイへの専門人材派遣支援などを進める。

スマート保安で必要となるデータエンジニアリングプログラムの提供による人材育成も想定している。保安力の評価について、デジタル化を念頭に置きながら双方の情報交換を進める。

25日に開く会合で新たな協力関係を盛り込んだ覚書を結ぶ。18年に結んだ覚書の内容から、民間ベースのビジネス開拓や人材育成など実践的な内容を充実させる。

経産省は産業保安分野で施設の高経年化や人材の高齢化などの課題に対し、AIやドローンなどを駆使した保安体制の効率化へ関係団体との議論やガイドライン整備を進めてきた。

タイも同様の課題を抱えることから、従来から覚書を結んでいた。今後、タイにとどまらずアジア圏全体を視野に国際連携の在り方について可能性を模索する。

日刊工業新聞2021年6月25日

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