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「半導体」事業基盤構築へ経産省が描く道筋

経産省商務情報政策局長・平井裕秀氏インタビュー

経済産業省が「国家事業」として基盤構築に取り組むことを掲げた半導体・デジタル産業戦略を示した。半導体の地勢図は変化を続け、各国が研究開発やシェア争いで火花を散らす。半導体受託製造(ファウンドリー)の存在感も増す中でどんな道筋を描くのか。平井裕秀商務情報政策局長に狙いを聞いた。(聞き手=高田圭介)

―戦略の主なポイントは。

「民間事業の延長線上としての支援でないことが従来との大きな違いだ。国内のサプライチェーン(供給網)を根付かせるため、研究開発にとどまらず国として製造基盤をどう築くかが問われる。世界シェアが落ちた状況からカムバックを果たすことが目的ではない。半導体を取り巻く環境や社会的課題が大きく変化しており、経済安全保障の意味合いを前面に出している」

―国家戦略と捉える意味は。

「半導体が家電だけに入っていた頃と違い、ありとあらゆるモノに組み込まれて社会の隅々まで影響を及ぼす時代となった。『産業のコメ』から『社会のコメ』となり、供給が少しでも止まれば社会活動に支障をきたす。エネルギーの安全供給や食料自給率確保と同様に、ビジネスの枠だけで片付けられなくなった。国内で一定の基盤を持たないと、社会の安定が満たされない事態になっている」

―海外事業者との連携も積極的に打ち出しています。

「海外資本でも日本資本でも日本で作られれば、国内の安定供給や経済安全保障の観点で大きな差はない。ただ、あくまで『日本に根ざした海外事業者』が中長期で展開し、海外事業者と日本企業が手を組むことに意味がある。国内で製造に関する実践的な場を築かないと、製造装置や素材関連の日本企業でさえ海外に出て行く恐れすらある」

―半導体分野で日本が生き残るために必要なことは。

「国内に研究開発拠点や生産拠点をいかに数多く確保していくかに尽きる。これまで国としてやるべきことをやらなかったから、『失われた30年』になってしまった。現場の変化に鈍感だったし、他国の施策を見て諦めていた部分もある。企業が世界中どこでも活動できる時代に、国として質のいい需要を確保して生産活動がしやすい事業環境を担保するといった当たり前のことを進める必要性が問われてくる」

日刊工業新聞2021年6月18日

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