世界半導体市場が過去最高更新へ!2022年は63兆円に
世界の半導体市場は2022年も活況が続きそうだ。主要な半導体メーカーが参加する統計機関の世界半導体市場統計(WSTS)によると、22年の市場は21年予測比8.8%増の5734億ドル(約63兆円)と21年に続いて過去最高を更新する見通しだ。新型コロナウイルス感染拡大によるIT特需や第5世代通信(5G)スマートフォンの普及、自動車生産回復の追い風はやまず、一部で供給不足を起こしながらも高い成長率は変わらない。(編集委員・鈴木岳志)
市場の先行きは「足元の非常に強い半導体需要が急速に弱まる要因が見つけ難かったとみられ、2022年は特に反動減が意識されなかった」(WSTS)と、引き続き明るいようだ。製品別のけん引役はメモリーなどのICだ。
22年のIC市場は同9・6%増の4782億ドル(約53兆円)を見込む。特にメモリーが同17・4%増の1817億ドル(約20兆円)と全体を引っ張る。NAND型フラッシュメモリー大手のキオクシア(旧東芝メモリ)は主力の四日市工場(三重県四日市市)で新たな製造棟を建設中で、その一部は22年春に完成させて増産を急ぐ。
世界的に不足感の強い演算処理用のロジックも同6・2%増の1471億ドル(約16兆円)と大きな伸びを予想する。半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は今後3年間で増産に1000億ドル(約11兆円)を投資し、深刻化する半導体不足問題に対応する構えだ。
一方、国・地域別で見ると、22年の米国市場が同9・7%増の1163億ドル(約13兆円)と最も高い伸びを示す。次いで、中国中心のアジア・パシフィック地域が同9・2%増の3654億ドル(約40兆円)を見込む。
ただ、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)などに対する米国の輸出禁止措置は続いており、米中対立が市場成長を抑制している側面もありそうだ。今や“国際戦略物資”となった半導体は地政学的リスクと無関係ではいられない。
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