長期的視点の「決断」がポイント!総還元性向50%を目指すクボタの財務

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株主と“一体”で社会課題解決

クボタは2025年12月期を最終年度とする5カ年の新中期経営計画の財務目標で、資本効率重視の経営を目指す方針を掲げている。財務担当の吉川正人副社長は「(機械や水環境など)既存事業の強化と、そこへの経営資源の投入。事業環境が変わる中で先を見据えた時、先行投資も不可欠」と話す。株主資本利益率(ROE)などの目標達成も「簡単ではないが、射程圏にある」と説明する。

ROEは「10%死守に向けて分子(利益)をいかに増やすかで努力する」(吉川副社長)。ただカーボンニュートラルなど変革期を踏まえ、吉川副社長は「思い切った投資への余力を残す」と内部留保の考え方を話す。配当の安定化に向けても自社株買いは消却のスタンス。これは業績のブレに大きく左右されない安定的な配当の維持が期待できる。「自社株消却の枠も安定的に確保したい」(同)方針だ。

総還元性向も40%以上が目標で、50%を目指す。20年12月期は営業、当期減益だったが「自社株消却を安定的に実施したことで、還元率は向上した」(同)と配当維持につなげた。吉川副社長は「我々は5―10年のスパンで社会の課題解決への貢献を目指している。そこへの賛同のためにも、株主還元を着実に実施し、株主の皆さまに長期保持して頂きたい」と強調する。

5カ年累計のフリーキャッシュフローは2800億円を生むことが目標だ。部品販売やサービスなど利益率の良い領域を増やすとともに、コスト増抑制のために生産・物流の体制も適宜見直す。

足元は海外主力市場の北米で農業機械や小型建設機械が堅調だ。特にコロナ禍で加速する郊外移住による住宅着工で使われる小型建機は「底堅く推移する」(吉川副社長)と見通す。

25年12月期までの財務目標を達成するためにも、設備投資は5年累計で6000億円(20年12月期実績は872億円)、研究開発費は同4000億円(同553億円)を投じる計画だ。

農機のリースなどを扱う金融事業を除けば実質無借金経営のクボタだが、吉川副社長は「成長を目指した積極投資でリスクをとることも必要」と話す。今後は長期的な視点の上で“決断”する場面もありそうだ。

日刊工業新聞2021年5月13日

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クボタ 財務分析

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