クボタが鋳物工場刷新に186億円。脱炭素に向け電気炉を導入
クボタは恩加島(おかじま)事業センター(大阪市大正区)のディーゼルエンジン用など鋳物製品の生産ラインを刷新する。2023年12月末までの完工を目指す。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対策を見据え、新たに電気炉を導入する。鋳物の生産能力は年3万6000トンと現状比20%高まる見通し。ライン刷新などに伴い、同センター内の建物も建て替えを含めて防災対策を施す。総投資額は186億8000万円となる。
恩加島は1917年(大6)の稼働。農業機械や小型建設機械などのエンジン用の心臓部となるクランクケースといった鋳物製品を手がける。97年に稼働させたES(流気加圧造型)ラインを稼働させて以来の大型投資となる。
操業を継続しながら刷新する新しい鋳造ラインでは産業用ロボットの増加など自動・省力化対応も加速させる。鋳物原料の溶解ではキュポラ(溶解炉)1基から電気炉4基に変える。恩加島で扱う鋳物は約70%がディーゼルエンジン向けで約30%がトラクターのミッションケース向け。
新ラインは24年度から量産対応予定。当面底堅さを見込む農機や小型建機などの需要を支える。石炭由来のコークス燃焼で二酸化炭素(CO2)排出になるキュポラから、電気炉への転換で「脱炭素を進める」(常務執行役員の鎌田保一エンジン事業部長)ことにもつなげる考えだ。
恩加島の建物面積は計約4万3000平方メートル。ライン刷新と並行し恩加島全体の約30%となる同約1万1600平方メートルを建て替え、毎秒65メートル級の暴風にも耐える防災処置など事業継続計画(BCP)対策にも力を入れる。
日刊工業新聞2021年5月19日