【動画あり】焼却炉ボイラの配管を点検するロボットがスゴイ
近畿大学工業高等専門学校の長谷川尚哉特任准教授は川崎重工業と共同で、焼却炉ボイラの配管を点検するロボットを開発した。配管同士の35ミリ―90ミリメートルの隙間を四つのクローラーで移動する。配管の間に合わせて厚みを調整する機構を備えた。ボイラ内の配管は焼却炉で発生した灰が積もり、熱交換効率を下げる。これまでは清掃員が防塵対策をして内部に入って点検と清掃を行ってきた。
二重のシャシー構造を採用した。シャシーがスライドすると、サスペンション機構でクローラーの車輪が厚み方向に広がる仕組み。これにより35ミリ―120ミリメートルの幅に対応できるようになった。これで配管の隙間にクローラーを押し当てて上下に移動できる。近大高専の研究室に塩化ビニール管で配管の実物大模型を作り、上下への走行性能を確認した。
360度カメラを搭載し、機体の向きを変えなくても全体を見回せる。操縦者はボイラの外からリアルタイムでロボットカメラの映像を確認できる。ボイラ内は無線通信できない可能性があるため有線で操縦する。
実際の焼却炉に投入して走行と点検の性能を確かめた。今後、エアグラインダーを搭載して点検と同時に洗浄もできるようにする。配管に積もった灰を取り除ければ洗浄の作業員が入らなくて済む。
焼却炉では燃焼条件が悪くなるとダイオキシン類などが発生する可能性があり、灰を吸わないように防塵対策を入念にしてから作業する。夏は非常に暑くなることから、自動化が求められていた。
日刊工業新聞2021年6月11日