低収益事業整理で健全化も、営業キャッシュフローは縮小続けるキリンHDの財務

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キリンHDの磯崎功典社長

キリンホールディングス(HD)は2000年代に進めた海外でのM&A(合併・買収)で財務状況が悪化し、16年に自己資本比率が30%を下回り、D/Eレシオ(負債資産倍率)は1倍を超えた。16―18年の中期経営計画で低収益事業の整理を打ち出し、ブラジルの酒類事業や豪州の飲料事業を売却。構造改革を進め、20年12月期は自己資本比率44・6%、D/Eレシオは0・77倍と改善している。

負債の圧縮で財務状況は健全化したものの、国内ビール類市場が16年連続で縮小する中、主力の酒類事業の伸び悩みなどで営業キャッシュフロー(CF)は4年連続で縮小している。20年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で酒類事業はさらに打撃を受けたため、20年12月期の営業CFは前年比130億円減の1648億円となった。

19年に開始した現中計では、3000億円の成長投資を計画していたが、厳しい外部環境を受け1700億円にとどめている。横田乃里也取締役常務執行役員は「来年に向けて再設計する」としており、いったん投資計画を凍結して22年から始まる次期中計で仕切り直す方針だ。横田取締役常務執行役員は「営業CFが2000億―2500億円くらいで、投資と手厚い株主還元につなげられる」と目安を示す。

キリンHDが競争力を高め、財務体質を強化するために進めているのがCSV(共通価値の創造)に基づいたポートフォリオの分散だ。20年12月期の事業利益でも、国内酒類事業が前期比11・4%減の755億円と落ち込んだのを、注力している医薬事業が同6・6%増の590億円と増益となり国内酒類事業の落ち込みをカバーした。

国内酒類事業は高齢化や人口減などで今後、大きな拡大は見込めない。キリンHDは酒類だけに頼らず、医薬やヘルスサイエンスとバランスをとりながら収益を伸ばすことで、財務体質を強くし、企業としてさらなる成長を目指している。

日刊工業新聞2021年4月22日

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