「医と食をつなぐ」キリングループ大再編の成否は?

 キリンホールディングス(HD)は大掛かりなグループ組織再編を実施する。子会社で国内酒類・飲料事業の統括会社であるキリン(東京都中野区)を7月に吸収合併するとともに、グループ会社の協和発酵バイオ(東京都千代田区)を24日付で連結子会社にする。2019年からの中期経営計画のスタートに合わせ、健康・未病の領域「医と食をつなぐ事業」を推進するほか、グループとしての一体運営を強化する狙いがある。


 キリンHDは最終的に7月にキリンを吸収するが、一体化した運営を4月から開始。約1100人のキリン社員はHDに移る。キリンは13年に当時揚げた綜合飲料戦略に基づき、国内事業の研究開発や調達、マーケティングなどの機能を集約し専門性強化と事業効率化を目的に設立。本来、HDが担うべき機能だが、吉村透留キリンHD執行役員は「当時、海外事業の対応が急務で、国内へのエネルギーが希釈する懸念があった」と説明する。

 16―18年中計では低収益事業のテコ入れを集中的に実施。国内各事業は「機能集約の効果などで大きな成果があった。もうキリンがなくても大丈夫と判断した」(吉村執行役員)という。

 ここにきて“屋上屋”とも指摘された組織構造を解消するとともに、新中計からは綜合飲料戦略の文言を外した。またキリンHDは子会社の協和発酵キリンの子会社である協和発酵バイオの株式の95%を約1280億円で取得する。

 新中計ではグループにおける酒類・飲料の「食」事業と、協和発酵キリンの「医薬」事業を結ぶ、健康・未病の領域「医と食をつなぐ事業」を立ち上げることが大きな柱。キリンHDではヒトの免疫細胞の根幹に作用する独自のプラズマ乳酸菌による事業を展開。これが中核事業の一つとなる。吉村執行役員は「同領域でさらにドライブをかける狙いが、バイオの子会社化になる」と強調する。

 ただ同社にはファインケミカル、コンシューマープロダクト、医薬原液の各事業がある。コンシューマーの部分以外の事業は関連が薄いようにも見える。しかし「ファインケミカルと医薬原液の事業こそが発酵とバイオの技術の源泉であり、新事業領域に不可欠」(吉村執行役員)と一蹴する。
               

(文・井上雅太郎)
 

日刊工業新聞2019年4月12日

  

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