出社上限を3割にしたキリンHD、「サードプレイス」戦略で生産性高める

 

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本社オフィスでは、部署の壁をなくすなどコミュニケーションを重視してきた

【生産性高める】

コロナ禍によってテレワークが当たり前の働き方となる一方、オフィスの位置付けが変わりつつある。キリンホールディングス(HD)も、オフィス、自宅以外の働く場所「サードプレイス」の導入を検討し始めた。

キリンHDは新型コロナウイルスの感染対策として、出社の上限数を3割に制限している。それにより在宅勤務がベースとなる中、オフィスの存在意義や目的を整理。目的に合った働き方、働く場所を主体的に選択できる仕組みにより、生産性を高めるのが狙いだ。

同社は2013年に本社を現在の東京・中野に移転した。新本社では、イノベーションを創出するため、社員同士が活発にコミュニケーションできるオフィスを目指した。部署の壁をなくし、机を動かしやすくしたり、オフィス中央に階段を設けてフロア間を行き来しやすくしたりするなど、オフィス空間の設計に、こうしたコンセプトを反映した。

しかしコロナ禍で状況は一変。オフィス設計でも社員間のコミュニケーションを重視してきたキリンHDだが、「今後は机がずらっと並んでいるオフィスはなくなる」と、人事総務部の竹内美耶担当は話す。新しい生活様式が定着していく中、働き方も大きく変わる。それに伴いオフィスの存在、目的も変わらざるを得ない。

【3つの目的】

同社は7月、オフィスの目的をあらためて再定義した。「イノベーション創発を目的とした共創空間」「仲間との信頼関係を築くためのリアルな接点・つながりを生む場、チームビルディング」「同じ場所で働くことで所属意識=企業ブランドを感じる場、価値観の共有」の3点だ。この再定義に伴い、オフィスを当たり前に毎日通う場所から、目的に合わせて選択する場所と位置付けた。

【サードプレイス】

そこでカギとなるのが、オフィスでも自宅でもないサードプレイス。「わざわざ決まったオフィスに出勤しなければならないというのはなくす」(竹内担当)ことで、働く場所を目的に応じて選択し、生産性や創造性を高める。首都圏を中心にシェアオフィスを活用し、仕事ができる場所を整備する。

営業担当者を中心に動線を少なくし、業務の効率化につなげることも目的の一つ。現在、トライアルを進めており、早ければ今秋にも導入したい考えだ。

出社することが前提ではなくなる中、オフィスにどのような機能を持たせていくのか。新型コロナがもたらした大きな変化をきっかけに、キリンHDは、社員がよりフレキシブルに働き、生産性、創造性を高められる環境の整備を目指す。

日刊工業新聞2020年8月27日

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