農作物やハモ鍋食材を楽々運ぶドローン!山間部や過疎地で強みを発揮
ブルーイノベーション(東京都文京区、熊田貴之社長)は、飛行ロボット(ドローン)を活用した実証実験に積極的だ。2020年11月には北海道当別町で、農家の畑で採れた作物を「道の駅」まで運ぶ実験を実施。同年12月には大分県杵築市でハモ鍋食材を送り届ける実験を行った。一連の実験を通じ、ドローンならではの付加価値を生み出せる分野を探し当て、ビジネス拡大につなげる意向だ。
農産物運搬の実験ではスカイドライブ(東京都新宿区)製の「カーゴドローン」を使用して複数の畑を経由し、道の駅に作物を届けた。運搬にかかる人件費や時間削減に加え、農作物を軽トラックに積み込む負担を解消した。ハモ鍋食材輸送では自律制御システム研究所製のドローン「PF2」を用い、大分県杵築市内のスーパーから約6・3キロメートル離れたスポーツ複合施設「上村の郷」まで食材を輸送した。
カーゴドローンは可搬重量が20キログラム以上ある大型の物流用ドローン。PF2は補助者なしで目的地までの距離を自律飛行できる。
今、ドローンを使った物流ビジネスは話題性が高いが、実現に向けては「追加料金問題」を無視できない。配送料金を加算して、ユーザーが受け入れるかどうかまで詰めないと単なる話題提供だけに終わってしまう。
熊田社長はドローン物流ビジネスのポイントについて「ドローンだけにしかできない特殊分野や、有利な条件があるかどうかだ」と強調する。杵築市の実験で言えば、高低差が500メートルあることがカギ。これだけ高低差があると車でも負荷が大きいのでドローン輸送が有利になる。農産物輸送でも農作物をまとめて運べれば、数量メリットが出る。
技術開発でも「ドローンならでは」を追求する。21年5月には東京電力ホールディングスなどと共同で、送電線点検用自動飛行システムを開発した。長距離の送電線と一定間隔を保ち、ドローンを継続飛行できる技術が決め手になった。