高低差に有利なドローンによる運搬ビジネス、ブルーイノベーションが事業化を模索

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大分県杵築市では観光客向けのハモ鍋運搬でドローンの実験を実施

稼働率向上など模索 採算性、事業化の壁

ブルーイノベーション(東京都文京区、熊田貴之社長、03・6801・8781)が、飛行ロボット(ドローン)による物品搬送のビジネス化を検証している。高圧送電線や橋などのインフラ点検と並び、物品輸送は成長の柱となる可能性を秘める。ただ課題は収益性だ。過疎地での輸送などは社会インフラとして意義はあっても、採算が合うかは問題があり、自治体の補助金なしでは不可能だ。課題解決に向けて同社の模索が続く。(編集委員・嶋田歩)

ドローンの物品輸送の実証は地方で行っている。例えば、大分県杵築市で観光客向けのハモ鍋運搬による実験を実施。商業施設のある場所から地元名産のハモ鍋食材をドローンで運搬し、スポーツ合宿施設の「上村の郷」で調理、実食した。

杵築市の実験場所の直線距離は6・3キロメートルだが、山奥なので高低差は500メートルある。「この高低差がドローンビジネスにはぴったり」と熊田社長は指摘する。高低差の移動では、車でも人間でも負荷が大きい。山や谷を越えるため、実際の道路距離は直線距離よりもはるかに長い。山奥の温泉地でハモ鍋のような名物料理を提供できれば、観光客と観光施設、ドローン事業者がそろってウイン・ウインの関係になり、採算性が高まるとみる。

また北海道当別町で農産物運搬の実用化実験を試みた。20キログラムの荷物を運べるハイパワードローンを使用し、白カボチャやダイコンなどの農作物を畑から道の駅まで搬送。ドローンを短時間に複数回、定期便で飛ばし、ビジネス効果を実証した。ダイコンなどの野菜は重量が大きいため数キログラムしか運べない一般的なドローンではなく、大重量を運べるドローン機種を選択する必要がある。また農作物は1年のうちで収穫期間がせいぜい1週間しかないため、残りの時期にドローンを有効に生かす方策を考えなければならない。

農家作業者は高齢者が多く、運搬車に積み込む作業負担の軽減にドローンが役立つのは確かだ。軽トラックを使用しなくてもすむので、二酸化炭素(CO2)排出量を削減し、環境対応をアピールできるメリットもある。ただ野菜の出荷価格が安いことを考えると、ドローン運搬料を低く抑える必要がありビジネスの採算性がカギになる。

「ドローンでこの荷物をここまで運ぶという単眼思考ではなく、複合ビジネスの視点が重要だ」と熊田社長は説く。農繁期と農閑期、夏冬などの季節の差を乗り越え、ドローンの稼働率を上げることで配送サービスのメリットが生きる。稼働率向上で輸送コストを下げ、さらに多くの客を呼び込む―。ドローンを使った物流ビジネスにはそうした詳細設計が欠かせない。

杵築市で行った物流ドローンのビジネス説明会には、はるばる青森県からも含め、総勢60人の企業役員らが出席したという。ホームセンターや地方スーパーなどの参加者が多かった。活性化に悩む地方にとって、ドローンビジネスへの関心は高い。

日刊工業新聞2021年2月5日

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