小型建機を盤石に、クボタ・ヤンマーが欧州を攻める
クボタとヤンマーは小型建設機械の主力市場となる欧州で、生産効率化の動きを加速する。小回りが利く強みで市街地など狭い場所で掘削や運搬が可能な小型建機は堅調。特に主要市場の欧米など海外向けでは旺盛なインフラ投資により、主要製品となる油圧ショベルやミニバックホーが不可欠だ。農業機械メーカーとしての知名度が高いクボタとヤンマーだが、主力事業に据える小型建機でも生産基盤の効率化を急ぐ。(取材=大阪編集委員・林武志)
ヤンマーグループのヤンマー建機(福岡県筑後市)は、ドイツとフランスの工場でそれぞれ抱えていた小型建機の修理用部品などの倉庫をドイツに集約した。生産最適化の一環で労務的側面も勘案した。アフターサービスの効率化につなげる。欧州では生産面も完全分業制に変更。フランスでは6トン以下、ドイツは6トン以上と、建機生産をすみ分けた。
ヤンマーは2016年に米テレックス・コーポレーションのグループで、欧州で中小型建機を扱う独テレックス・コンパクト・ジャーマニーを買収、「YCG」を発足した。欧州はフランスに10年設立のヤンマー建機ヨーロッパ(YCEE)との2拠点体制をとる。
クボタは欧州で小型建機の物流拠点を新設する検討に入った。欧州向けは独南部に1988年設立のクボタバウマシーネン(KBM)や枚方製造所(大阪府枚方市)などで手がける。そこからオランダに07年設立した物流拠点「EDC」に送り、バケットなど作業用のアタッチメントを装着。EDCで欧州各国の仕様に対応し出荷する。
ただ本来、倉庫のEDCが“改造拠点”のようになり、キャパシティーに余裕がなくなりつつある状況。このため今後2―3年内をめどに、ドイツかオランダなどで「第2のEDC」設置を検討する。
日本建設機械工業会(建機工)の会員による20年度の欧州市場動向予測は増加7%、横ばい59%、減少34%(新型コロナウイルス感染症の影響は考慮せず)。ただ都市部で活躍する小型建機需要は底堅さが見込めるため2社は主要市場の欧州の基盤を固める。