非接触でおもてなし、シャープ「ロボホン」が宿泊施設で活躍

プログラミング体験、宿泊業の需要発掘

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「変なホテル」をはじめ、宿泊業界でロボホンの導入事例が広がる

シャープは、コミュニケーションロボット「ロボホン」の宿泊業界向け提案を強化している。コロナ禍で観光・宿泊業界の市場環境が厳しくなる一方、小学校でのプログラミング教育必修化を背景に、文教向けの導入事例が増えた。その文教向けノウハウをかけ合わせ、宿泊施設でのプログラミング体験など滞在型アクティビティーの需要発掘を進める。コロナ禍収束が見通せない中、こうした「非接触のおもてなし」が注目を集めそうだ。(神戸・園尾雅之)

シャープのロボホンは2016年の発売以来、愛らしいデザインや対話機能などを強みに、コミュニケーションロボット市場をリードしてきた。接客現場では、顧客がタブレット端末を操作すると、ロボホンが声やダンスなどで補足説明するという運用が多い。無機質になりがちな省人化対応に、ちょっとした彩りを添える。

宿泊業界向けとしては、19年に「変なホテル大阪 心斎橋」(大阪市中央区)へ納入以降、着実に実績を増やしてきた。チェックインなどのフロント業務を補助したり、客室内で会話などのコミュニケーションを盛り上げる役割を担う。またロボホンの頭部にはカメラがあり、ホテルのスタッフはその映像を確認しながら、ロボホンを介して宿泊客と対話することもできる。これによりフロントに常駐せずバックヤードの事務作業に専念できるなど、業界の人手不足の課題解決にも一役買っている。

もう一つの市場が文教向けだ。19年にはロボホンの動作や対話などを簡単にプログラミングできる学習ソフトウエアを発売。兵庫県姫路市では、市内全ての市立小学校などにロボホンを導入しており、自治体の注目度も高い。教育現場の情報通信技術(ICT)環境整備を進める政府の「ギガスクール構想」を受け、事業環境としては追い風が吹く。

ロボホンの動作をプログラミングできるソフトウエア「ロブリック」の画面イメージ

その実績を踏まえてシャープが提案し、「変なホテル舞浜 東京ベイ」(千葉県浦安市)が展開するのが、プログラミング体験ができる宿泊プランだ。コロナ禍で観光需要が低迷する中、客室内での滞在そのものを高付加価値化する狙い。リゾートホテルのビジネスモデルを、一般的なビジネスホテルに展開したともいえる。

シャープ通信営業統轄市場開拓部の景井美帆部長は、「観光に行きづらい状況下だが、滞在型アクティビティーを何かできないか。学校現場でもリアルのイベントが難しいからこそ、教育系ソリューションとかけ合わせようと考えた」と話す。都道府県をまたいだ移動が自粛される中、宿泊業界では、比較的近隣の地域から宿泊客を呼び込もうとする取り組みもある。シャープはこうした状況を注視しながら、さらなる提案強化も視野に入れる。

コミュニケーションロボットは、人と人との触れ合いを促すためのもの。だがコロナ禍においては、直接的な触れ合いが敬遠されてしまう。ロボットならではの非接触性という特徴を、いかに生かせるが問われている。

日刊工業新聞2021年5月18日

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