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京町家をスマートホーム化、シャープが事業参入のワケ

京町家をスマートホーム化、シャープが事業参入のワケ

AIoTクラウドがmui Lab、八清と連携してスマートホーム化する予定の京町家

シャープは、京都の伝統的な家屋である京町家を活用したスマートホーム事業に参入する。IoT(モノのインターネット)ベンチャーのmui Lab(ムイラボ、京都市中京区)、京町家リノベーションを手がける不動産会社の八清(同下京区)と組み、京町家でIoT家電を効果的に提案する。利用者データを分析した上で家電を自動制御し、快適な空間を創出できる。京町家の減少という地域課題の解決に取り組むとともにデータビジネスの裾野を広げる。

シャープ子会社のAIoTクラウド(東京都江東区)が展開。シャープ製エアコン、ムイラボ製のIoTデバイスを京町家に組み込み、八清がリノベして不動産販売する。来客時に空調や照明を自動で同期制御したり、就寝時に快適な眠りに誘えるように空調を自動制御したりできる。第1号物件を6月にも発売予定。一般的な京町家リノベよりも約100万円上乗せした価格での提案を想定する。

AIoTクラウドとムイラボは2020年にデータ利活用の連携を始めており、その仕組みを生かす。ムイラボのIoTデバイスは木材を基調とした落ち着いたデザインで、家電操作や家庭用エネルギー管理システム(HEMS)などの多彩な機能を持つ。

一方、AIoTクラウドはIoT家電を通じたデータプラットフォーム(基盤)を展開しており、大阪ガスやKDDIなど他社とのデータ連携を拡大している。同基盤の蓄積データを生かし、スマートホームの機能を順次アップデートする。今後は太陽電池、家庭用蓄電池、調理家電などのシャープ製品とのセット提案も検討する。

京町家は京都の風情ある景観を構成する重要な要素。だが維持管理の負担は大きく、京都市内では毎年約800軒の京町家が取り壊されている。

伝統建築と最先端技術の双方の良さを組み合わせたスマートホームを提案することで、若年層や富裕層などへ訴求し、課題解決に貢献する。

日刊工業新聞2021年1月25日

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