接種開始のコロナワクチン、エスペックや岩谷産業など保冷容器が続々投入

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エスペックが4月発売するワクチン輸送用の「定温輸送保冷庫」

新型コロナウイルスワクチン接種が本格化するのを前に、輸送や保管などの製品開発が相次いでいる。エスペックは持ち運び型の保冷庫を、日野自動車系で車載用冷蔵庫などを手がける沢藤電機と共同開発。ワクチンの輸送に使用でき、4月めどに発売する。岩谷産業は16日、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンをマイナス75度C前後の低温に保って輸送・保管できる保冷箱を3月中旬に発売すると発表した。保冷庫などには、すでにパナソニックやシャープなど大手電機メーカーも参入している。

エスペックが発売する定温輸送保冷庫はワクチンの輸送保管で求められるマイナス20度C、5度Cなど複数の温度帯で庫内を精密に温度制御できる。同社の環境試験器と沢藤電機のノウハウを持ち寄り開発した。4月以降の65歳以上の高齢者からのワクチン接種本格化を見据え、ワクチンの安定輸送用として医薬品卸や物流、官公庁などに提案する。

庫内温度は5度C以内が求められる冷蔵輸送ではプラスマイナス3度C差以内、マイナス20度Cの冷凍輸送ではプラスマイナス5度C差以内に保つ。容量は8・4リットルで重量は12・8キログラム。消費税抜き価格は24万円。沢藤電機のタイ工場で製造し本社・新田工場(群馬県太田市)で最終仕上げを担う。エスペックが販売し、初年度200台の販売を目指す。需要次第だが沢藤電機は最大年産1000台規模にも対応できる見通し。

岩谷産業の保冷箱は箱上部に25キログラムのドライアイスを充填し、1箱で約1000回分のワクチンを10日間保管できる。17日に医療従事者から接種が始まるファイザー製ワクチンの流通向けに物流会社、製薬会社、病院などに提案する。消費税抜き価格は10日間保管タイプが15万円前後、小型の7日間保管タイプが13万円前後。ワクチンは箱の下部にある引き出しに保管するため、ドライアイスに触れずに取り出すことができる。監視装置を内蔵して保管箱内の温度や位置情報をスマートフォンやパソコンから常時監視するシステムも併せて提案する。

岩谷産業の保冷箱はマイナス75度C前後の低温に保って輸送・保管できる

17日から接種が始まる米ファイザー製のワクチンは保管条件が厳しく、マイナス75度C前後の環境が必要。岩谷産業は今後、接種対象が拡大して流通量が増えれば、保冷箱などの需要が増えると見込んでいる。エスペックは、マイナス20度Cで冷凍輸送の米モデルナ製、2―8度Cで冷蔵輸送の英アストラゼネカ製のワクチンや、ファイザー製を含むサテライト施設への小分け配送、保管などで需要を見込む。

日刊工業新聞2021年2月17日

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