ニュースイッチ

エネルギーを自給自足できる地域、全国に138市町村

再生可能エネルギーで地域のエネルギー需要を賄える状況にある市町村が2020年3月末時点で全国に138あることが、千葉大学の倉阪秀史教授の研究室と環境エネルギー政策研究所(東京都新宿区)の調査で分かった。各地で太陽光や風力、バイオマスなどの発電設備が稼働し、19年3月末に比べて25市町村増加した。

倉阪研究室らは地域の企業や家庭での電力・熱の消費量よりも、現地で稼働中の再生エネ設備の発電量が多い市町村を「エネルギー永続地帯」と定義している。今回の20年度版報告書では太陽光発電所が多い岡山県美作市、地熱発電所が運転を始めた秋田県湯沢市などが加わって138市町村となった。電力だけ自給自足可能な「電力永続地帯」も226市町村あった。

また、二酸化炭素(CO2)排出ゼロを目指すと宣言した328の市町村(21年4月14日時点)のうち、北海道稚内市、岡山県瀬戸内市など23の自治体がエネルギー永続地帯に該当していた。報告書で倉阪教授はエネルギー自給率の低い大都市ほど宣言を出す傾向にあると指摘。「宣言だけでは脱炭素社会は実現できない。具体的な政策を自治体レベルで始める必要がある」と提言した。

日刊工業新聞2021年5月14日

編集部のおすすめ