PM2.5を排出抑制する「セラミックスフィルター」の仕組み
新居浜工業高等専門学校(愛媛県新居浜市)生物応用化学科の中山享教授は、300度C以下の低温で炭素微粉を燃焼分解除去できるセラミックスフィルターを開発した。中山教授は工場の煙道内に設置することで粒子状物質(PM)2・5の排出を抑制できるとし、今後は実装に向けた実証試験や、より効果的な金属酸化物の組み合わせについて研究を進めていきたいとしている。
フィルターは、多孔質セラミックスに酸化タリウムと酸化ビスマスを混ぜた触媒をコーティングし、フィルター上で集塵された炭素微粉を燃焼除去する。炭素は大気中660度C以上に置くと酸化燃焼するが、同フィルターを用いると金属酸化物の中でも酸素と金属の結合具合が非常に弱い酸化タリウム内の活性が高い酸素が燃焼を促進させることで、300度C以下で燃焼することを確認した。
また実用化を視野に入れ、高価な酸化タリウムの役割を負う安価な酸化ビスマスとの組み合わせを試したところ、230度Cで燃焼することも確認できたという。炭素微粉を燃焼除去するため、フィルターは目詰まりなくメンテナンスが不要だとしている。
日刊工業新聞2021年5月14日