ゲリラ豪雨を早期に予測、「EKO水蒸気ライダー」の仕組み

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英弘精機(東京都渋谷区、長谷川寿一社長)は、京都大学生存圏研究所の矢吹正教助教と共同で、上空2キロメートルの大気境界層までの水蒸気の量を24時間リアルタイムで観測できる「EKO水蒸気ライダー」を開発した。雨雲が発生する前の雨の素になる水蒸気量を計測し、大雨やゲリラ豪雨を早期に予測できる。太陽光の影響を受けない波長266ナノメートル(ナノは10億分の1)の深紫外光を使うため、昼夜を問わず安定して観測可能。コストダウンやメンテナンス性向上を進めて今夏にも事業化する。事業化後は早期に売上高10億円の達成を目指す。

観測には物質に光が入射して散乱した光に、入射した光と異なる波長の光が含まれる「ラマン散乱」を利用する。レーザー光を上空に照射し、得られたラマン散乱光で水蒸気量を計測する。水蒸気の存在する高度は光が戻る時間で判定する。水蒸気のほか窒素や酸素の観測もできる。

現在、事業化に向け部品の見直しや光源の耐久性向上によるコストダウンや、メンテナンス性の向上、小型化などを進めている。

また、観測可能な高度をさらに引き上げることや、温度の計測機能を付加することも検討している。例えば水蒸気量の推移と温度変化の推移や分布を相関させれば、よりきめ細かい観測や知見が得られる可能性がある。

英弘精機は京都大学生存圏研究所信楽MU観測所(滋賀県甲賀市)で実証試験を行い、1年間の連続運転も達成した。現在、民間企業や公的機関から引き合いがあり、用途に応じたバリエーションの製品を用意する方針だ。

日刊工業新聞2021年5月

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