技能実習生や高度人材で外国人を採用する中小企業が得た気付き

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ベトナム出身のグエン・タイ・リンさん。旋盤で金型の外径を削る

冷間鍛造金型などの設計や製造を手がける日新精機(埼玉県春日部市、中村稔社長)は、外国人の採用を2014年に始めた。若手の採用がより厳しくなると考え、外国人とともに働く環境をいち早く整える狙いだ。採用は順調に進み4期生を迎えた。全社員30人のうちベトナム出身者が4人。他方、生産現場で働く女性はいない。「トイレなどの整備を進め、生産現場で働く女性も採用したい」(中村社長)と意気込む。

外国人採用1期生として技能実習生2人と、高度人材のエンジニア2人を採用した。技能実習生は帰国時期が決まっており、高度人材は転職を念頭に置いている傾向があるため、「どちらがよいか迷った」(中村社長)という。実際、高度人材のうち1人は他の会社に転職した。

現在、技能実習生として働く4人は旋盤加工、平面研磨、細穴放電加工、円筒研磨などを担当している。1期生を受け入れた時の苦労を、製造部の杉本成幸氏は「日本人独特の言い回しだと、伝わらないこともあった」と話す。例えば「削るけど」や「削っても」といった語尾や接続詞の表現により、意図が伝わりにくくなることがあったという。

言葉の問題の解決に向け試行錯誤を重ねる。外国人採用を継続したことで「先輩が後輩に母国語で業務を教えられるため、習熟度が上がった」と中村社長は指摘する。他方、「母国語を使うため、日本語がおろそかになってしまった」というデメリットもあったという。

発注書にラベルを付けて作業者に渡し、分かりやすく伝える

一時は社内では日本語を用いるというルールを設けた。だが、快適に過ごしてほしいとの思いや、日本人とも仲良くしている状況を踏まえた結果、現在は以前ほど厳格にはしていない。

ほかにも、誰もが働きやすくなるように労働環境を改善している。例えば「机の高さが低く、作業時に腰が痛いと言われた」(中村社長)ため、机の脚の下に約10センチの角材を入れて高さを調整した。

今後は、生産現場で活躍する女性を積極採用したい考え。現場は男性しかおらず、受け入れ側の理解が欠かせない。中村社長はオンライン教育なども活用し「現場のマインドを変えたい」と意気込む。

【ポイント】 働きやすい環境を整えるため、発注書にラベルを同封して指示を明確にする取り組みも実施。22年には外国人5期生として技能実習生2人が配属される予定。女性を採用する上で重要な環境整備にも着手する。

日刊工業新聞2021年4月29日

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