出光興産、小型EVシェアリング実証の狙い
メンテノウハウ蓄積へ
出光興産は、2人乗りの小型電気自動車(EV)のカーシェアリングの実証実験を始めた。岐阜県の高山市と飛騨市での7台による小規模なものだが、MaaS(乗り物のサービス化)の取り組みの第一歩となる。EVの普及はガソリン需要減少につながりかねない中、石油元売り大手が取り組む狙いは何か。
春と秋の高山祭りや歴史ある家並みで知られる高山市街で8月から、タジマモーターコーポレーション(東京都中野区)の2人乗りEV「ジャイアン」が市民や観光客の足として活躍し始めた。出光興産が地元で系列給油所を運営する牛丸石油(岐阜県飛騨市)と協力して実施する。
出光が高山市などで実証に取り組むのは、牛丸石油との関係が大きい。出光の牛丸石油担当者が熱心に協力を呼びかけ、先進技術や環境への理解が深い牛丸石油が応じた。
2人乗りEVは小回りが利き、高齢者でも運転しやすい。15分につき350円と手軽に利用できる。通常のコンセントで充電できるのも利点だ。高山市で5台、飛騨市で2台運用している。
出光は高山・飛騨市以外の場所でも実証実験を始める計画で、関東地方の自治体と交渉している。将来的には、給油所でEVのメンテナンスを提供する構想があり、今回はメンテノウハウを蓄積する狙いがある。福地竹虎経営企画部部長付は「充電系のトラブルがあったが、これらが経験になる」と手応えを見せる。EV普及を見据えてタネをまく。(戸村智幸)
日刊工業新聞2019年11月8日