井関農機のスマート農業が開花した!苗の植え付け時間7割削減

  • 0
  • 2
菊栽培の実験の様子。トラクターの後部に畝立て用の「うねまぜ君」を装着している

井関農機は秋田県農業試験場などと共同で、小菊の大規模生産におけるスマート農業技術を実証した。自動直進機能付きの畝(うね)内部分施用機を使い、畝立て作業時間を54%削減。半自動乗用移植機により、苗の植え付け時間を手植えより71%削減できた。花きや野菜はコメと比べ栽培にかかる手間が多く、重労働で価格変動リスクもつきまとう。そのため省力化への期待が高く、同社は今後、ブロッコリーなど他の作物にも技術を応用する考えだ。

菊の栽培は畑を耕した後に全面を施肥し、苗を植え付ける畝立て作業に入る。畝は数十メートルにわたって直線状に作る必要があり、経験の浅い人だと曲がってしまうことが多い。

実証では全球測位衛星システム(GNSS)による直進機能を備えた井関の施用機「エコうねまぜ君」を使用した。最初は調整不足で畝の前部が曲がってしまったが、再調整後はまっすぐな畝ができるようになった。ズレの精度も慣行作業が最大9・3センチメートルなのに対し、実証機は6・5センチメートル。作業時間は慣行と比べて5割強削減でき、直線精度も問題のない結果になった。

移植機はこのまっすぐな畝に一定間隔で菊の苗を植える。従来の手作業は座ったり立ったりを繰り返すため腰痛などを強いられていた。苗を根付かせる水やり作業も必要だ。

井関の移植機「ナウエルナナ」は菊の種類に応じて株間8センチ、10センチ、12センチメートルの3通りを選べ、畝間寸法も30センチ―50センチメートル以内で設定できる。畝をまたぎながら進み、規則正しい間隔で苗を植え、直後に水やりも行う。実証では手植えと比べ作業時間が7割減り、間隔精度も高い結果が出た。

同機の改良機は株間寸法が8センチ―35センチメートルに広がり、菊以外にブロッコリーやエダマメ、キャベツなど多くの野菜に対応可能。水やりのタンク容量も2倍の20リットルと大型化し、補給回数を減らせる。

農林水産省の統計によると、面積1000平方メートル当たりの労働時間はコメの23時間に対しキャベツは112時間、レタスは164時間、ホウレンソウは244時間と桁違いに長い。野菜や花きは畝立てや水やり、草取り、虫よけ作業などが不可欠で、作物によっては間引きや芽かきもある。生育状況もさまざまで、自動化が進まない要因になっていた。

日刊工業新聞2021年4月30日

関連する記事はこちら

特集