ホンダやサムスンで活躍した技術者に聞く。「全固体電池」日本・中国・韓国の現在地

電池の本命 全固体 #4 佐藤登氏「問われる液系比優位性」

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写真はイメージ

全固体電池への期待が高まる一方、課題も多い。ホンダで電池開発に従事した経歴を持つ元サムスンSDI常務を務め、現在は名古屋大学未来社会創造機構客員教授でエスペック上席顧問の佐藤登氏に展望を聞いた。

―全固体電池の現状をどう見ていますか。

「酸化物系の小型全固体電池は電子部品メーカーが主体で開発し、日本が先頭を走る。ただ、最注目は硫化物系の車載向け。規模が全然違うからだ。車載用のブレークスルーは東京工業大学とトヨタ自動車の固体電解質の発見から始まった。この流れは変わらず、開発で一番進んでいるのはトヨタだ」

―全固体電池は電解液とセパレーターがなくなり、国内のサプライヤー網を再構築する必要があります。

「車載用に適用できる固体電解質の発見は元々日本だ。材料メーカーで三井金属や出光興産などが呼応している。しかし2社以外のフォロワーがほとんどいない。材料メーカーの投資は開発段階から必要で、事業化はさらなる投資が伴う。全固体電池の事業がある程度拡大すれば、様子見の材料メーカーも少なからず参入するだろう」

―海外勢も開発に注力しています。

「脅威になるのは、大手電池メーカーを抱える韓国と中国だ。韓国のLGエナジーやサムスンSDIなどは長期的視点で取り組んでいる。ただし車載用全固体電池は実現できても普及は10年ほど先。『普及』は今の液系電池の10%のシェアを全固体電池が取ると定義した場合。LGエナジーは全固体電池の研究開発に取り組むが、今の液系電池の事業が極めて重要だと考えている」

「だが日本が実用化にほぼ成功した段階に達すればスピード感をもって一気に事業化を進めるだろう」

―事業化も難題です。

「全固体電池は高くても売れるというシナリオはない。既存のリチウムイオン電池があるからだ。リチウムイオン電池は従来のニッケル水素電池とは全く異なる新原理の発掘で飛躍的な進化があった。一方、開発段階の第1世代の全固体電池は液系リチウムイオン電池の応用原理で生まれた“親戚”。正極も負極も現行リチウムイオン電池の材料と同一だ。この段階では飛躍的な性能には至らない」

「既存液系リチウムイオン電池と比べた優位性が問われる。国内メーカーのリチウムイオン電池は安全性の高いものが多く、それだけで優位性を出すのは難しい。次世代として期待が持てる高電位正極材や金属リチウム負極材の実用化に至れば画期的な電池として発展するが、技術開発のハードルはさらに上がる。課題克服はそう簡単でない」

佐藤登氏


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講師はホンダでリチウムイオン電池の開発に携わり、その後、サムスンSDIの常務として電池事業の陣頭指揮をとり、現在は名古屋大学未来社会創造機構客員教授でエスペック㈱上席顧問を務める佐藤登氏です。
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2021/7/2(金) 14:00 ~ 15:30
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一般 :¥5,500(税込) 前回参加者 :¥4,400(税込)
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申し込み締切 2021年7月1日(木)12:00

日刊工業新聞2021年4月27日

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