R&Dは全固体電池などに集中、三菱ガス化学社長が目指す1兆円のエクセレントカンパニー

藤井政志氏インタビュー

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三菱ガス化学公式サイトより

成長へ積極投資継続

―2021年度から新中期経営計画がスタートします。

「現中計の2000億円を上回る投資を行う。コロナ禍で気持ちがふさぎがちになるが投資を止めると10―20年後の成長が止まる。半導体パッケージ基板材料や電子材料薬品の増産のほか、基礎化学品の芳香族アルデヒドやメタキシレンジアミンの投資も進める」

―主力のメタノール事業は。

「トリニダード・トバゴ新工場が完成し、21年度は収益貢献を見込む。次の3カ年で新たな大型工場投資は考えていない。米国新政権の環境政策などで判断が難しい。二酸化炭素(CO2)をメタノール原料とする研究の成果も見極めたい。既存工場の効率化は着実に進める」

―政府が50年にカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。

「当社では50年より前に実現させたい。81年から再生可能エネルギーである地熱開発に取り組んでおり、今後10―20年間で複数件の地熱発電所の開発に挑戦したい。将来は自社で消費する電力の相当量を地熱で発電したい。またCO2からメタノールなどの化学品を生産する技術や、他社との連携による技術革新に取り組む」

―R&Dの方針は。

「現在の約500人から中期的に700人へ増員し、R&D体制を強化する。組織を一本化したことで、全固体電池材料などの重点項目に人を集中配置できる。電池材料はエネルギー貯蔵の点でも需要は増える。次期中計中に契約を目指す」

―デジタル変革(DX)の取り組みは。

「生産面は大型工場からきっちり実行する。サプライチェーン(供給網)管理や生産計画、研究でも進める。また機密保持すべき情報を除いて装置稼働データを共有するなど、日本の化学会社間の連携による技術の高度化も目指したい」

―将来どのような企業を目指しますか。

「研究開発の成果を出し、売上高1兆円超のエクセレントカンパニーを目指す。ESG(環境・社会・ガバナンス)にもしっかりと取り組み、社会的価値と経済的価値を両立させたい」

三菱ガス化学社長・藤井政志氏

記者の目/独自性、飛躍のチャンス

基礎化学品から先端材料までを手がける日本の総合化学メーカーの中で、三菱ガス化学は原料から異なる独特の存在。今注目されるCO2を原料にメタノールを生産する技術は、主力のメタノール事業の技術を応用できる。三菱マテリアルなどと再生可能エネルギー発電にも取り組んでいる。独自性を磨くことが大きく飛躍するチャンスをつかむことにつながりそうだ。(梶原洵子)

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日刊工業新聞2021年2月4日

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