全固体電池の電子吸着体に木材の極細繊維を活用。電解液用いず短時間充電

東北大学と日本製紙が提案

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東北大学、日本製紙が確認したCNF吸着体のナノ凹凸表面

東北大学と日本製紙は、全固体電池の電子吸着体に木材の極細繊維(セルロースナノファイバー=CNF)を活用することを電機メーカーなどに提案する。高い蓄電効果を持つCNFの表面にナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの凹凸面を作り出すことで乾式で軽量の固体物理蓄電体を開発した。電解液を用いず短時間で充電でき、高電圧耐性や広い温度領域を持つ。脱炭素を追い風に関連する企業のニーズを探りつつ、2025年ごろの実用化を目指す。(編集委員・山中久仁昭)

土に返せる

固体物理蓄電体は、東北大学未来科学技術共同研究センターの福原幹夫リサーチフェローらと日本製紙が開発した。CNFは木材から得られる繊維(パルプ)を極限まで微細化したバイオマス素材。今回、平均3ナノメートル径のCNFで高い電子吸着性を確認した。

電気を化学反応でためるリチウムイオン電池と違い、CNFを使うため充電時間が短く、400ボルトまでの電圧に耐えられ、約200度Cの温度に対応できる。蓄電池の構成材料にレアメタルを使う必要がなく、CNFなら土に返せるなど環境負荷が小さい。

CNFの表面形状を制御して作り出すナノサイズの凹凸面は、径が小さいほど蓄電量を高められる。突起の一つひとつに直接蓄電できるため効率が良い。

設置費を節約

東北大などはCNF蓄電体を太陽光パネルの裏側などに貼り付ければ発電・蓄電設備の設置費節約、落雷回避などが可能とみる。マイクロ電子回路の交流用コンデンサーやノイズフィルターへの活用も提案。

成果物は25年の大阪・関西万博への出展を目指し、電機メーカーなどと実用化の道を探る考えだ。

CNFはこれまで機械や化学、医学分野への応用はあった。日本製紙は約3ナノメートルの均一な繊維幅で、蓄電体に適した「TEMPO酸化CNF」を石巻工場(宮城県石巻市)で生産し、年産能力は500トンとしている。

理想的な素材

東北大の福原リサーチフェローは「CNFは二酸化炭素(CO2)も電気も固定化できるため、循環型社会の理想的な素材といえる。蓄電池への実用化で使用量が増えれば、CNFのコストは抑えられる」とみている。

日刊工業新聞2021年4月27日

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