三井物産が出資するベンチャーの倉庫ロボットがスゴい!
ロボ追加・交換を柔軟対応
三井物産が出資するプラスオートメーション(東京都港区、飯間卓社長)は、物流倉庫にロボットを提供し、荷物の搬送やピッキング、仕分けを自動化するサービスを手がける。サブスクリプション(定額制)モデルでロボットをレンタル・販売するサービスにより、大がかりな設備投資を必要とせずに出荷を効率化する仕組みを構築。日用品やアパレルなどの業界を対象に事業拡大を狙う。
「人の作業は少しずつロボットで置き換えられる」とプラスオートメーションの飯間社長は強調する。物流倉庫の課題を洗い出し、解決に必要なロボットを導入・管理するサービス「RaaS(サービスとしてのロボット)」を提供する。
荷物に貼られたバーコードを読み取って仕分けるロボット「t―Sort(ソート)」、人が棚から取り出した荷物を運ぶ「PA―AMR」、複数の荷物をまとめて搬送する「CarriRo(キャリロ)」の3種類のロボットを展開。人の負担が大きい作業や間違いやすい作業を代替する。「全てを置き換えるのではなく、人を補助する手段としてロボットを使う」と飯間社長は指摘する。
各ロボットの制御システムを統括する「庫内実行システム」を倉庫内に構築。同システムは在庫などを管理する倉庫管理システムにも接続する。これらのシステムインテグレーションや、導入後のコンサルも請け負う。一連のソリューションを含めて「サービス」と呼んでいる。
「サービスとしてのロボット」の強みは他にもある。同社の山田章吾経営企画部長は「(コンベヤーなどの)固定設備を作るより簡単に導入できる」と指摘する。仕分けのルール決めや配送ルートの設定などセットアップは約1日で完了し導入のリードタイムが短い。需要拡大やトラブル発生にもロボットの追加・交換で対応できると山田企画部長は指摘し「柔軟さや機動力の高さが強み」と話す。
導入コストは個別見積もりだが、中規模程度の倉庫の場合、月額100万円程度が目安という。日用品やアパレルの倉庫20拠点に導入実績がある。2019年12月にアパレルメーカーのジュン(東京都港区)は、自社倉庫にプラスオートメーションの「t―ソート」を導入した。服の出荷量は季節で変動し、繁忙期は人手でさばききれない量になる。搬送や仕分けを自動化し、1万6500個の出荷時間を従来の83時間から65時間に短縮した。
当初は20台を導入したが、セール時期は10台追加することで出荷増に対応した。「店頭から在庫がなくなる機会損失を防ぐことができた」(山田企画部長)。富士ロジテック・ネクスト(東京都中央区)は、倉庫内の搬送ルートを立体的に構築し省スペース化した。「場面に応じた活用方法を選択できるロボットの強みを生かした」(飯間社長)。
飯間社長は「今期中に40―50拠点へ導入したい」と目標を掲げる。将来、医薬品や機械への対応を目指す。