「健常者と肩を並べて歩くことは、身体障がい者の悲願」。台湾発歩行支援ロボットメーカーが提示する未来

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台湾・フリーバイオニックスが開発した歩行支援ロボット「フリーウォーク」

再び歩き回る自由を―。台湾に本社を置くFREE Bionics(フリーバイオニックス)は、足の不自由な人のリハビリを補助する歩行支援ロボットを開発し、日本を含む各国で販売する。足を上げる動作や踏み出す動作を補い、訓練を通じて下半身の筋力を回復させる。

「健常者と肩を並べて歩くことは、身体障がい者の悲願だ」とウー・シンカ社長は力を込める。脳卒中や交通事故で下半身に障がいを負った人の歩行訓練を支援するロボット「フリーウォーク」を開発した。各国の医療機関や個人に販売・レンタルする。

同製品は利用者の足腰に装着する「パワーアシストスーツ」という種類のロボット。股関節と膝の周囲にモーターがあり、足を上げる動作や屈伸を補助する。「足の動きや重心の移動を検出し、自動で力を補う」とウー社長は説明する。脳卒中の後遺症で下半身まひが残る人が歩行訓練を8回行った結果、しっかり歩けるようになったという。

他社製ロボットの多くは利用者の皮膚にシート状のセンサーを貼り、筋肉を動かす際に皮膚を流れる電位信号を検出する。精密な補助ができる半面、皮膚のかぶれに悩む人もいる。同製品は装着時にセンサーを貼る必要がない。「今後は歩行を補助するソフトウエアの性能向上を目指す」とウー社長は語る。

同社は2017年に台湾で設立。日本や米国など世界19拠点で展開する。20年は新型コロナウイルス感染症により自宅で運動するニーズが高まった。米国のスポーツ用品メーカーと協力し、健常者向けの在宅トレーニング装置を開発中で「発売時期は未定だが、まずは米国市場を狙う」(ウー社長)。

矢野経済研究所によるとパワーアシストスーツの国内市場は20年時点で約37億円(予測)。22年には約71億円に達する見通しだ。同調査は作業支援型ロボットの市場も含まれるため単純予測は難しいが、今後も市場拡大が続きそうだ。(森下晃行)

日刊工業新聞2021年4月16日

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