信州大発ベンチャーが新型の装着型ロボット、アシストスーツで花盛り
高齢化を背景に身体の動作を支援するロボットの開発・販売が活発化している。アシストモーション(長野県上田市、橋本稔社長、0268・75・8124)は、人の歩行動作などを支援する装着型ロボット「クララ」の新型機種を開発、2021年夏をめどに発売する。病院やリハビリ施設で訓練や生活動作支援用などでレンタル販売を目指す。サイバーダインやイノフィスなども身体装着型の支援ロボットを市場投入しており、競争が加速しそうだ。(編集委員・嶋田歩)
アシストモーションのロボットは信州大学繊維学部発ベンチャーの着想を生かし、装着が楽で動きやすいのが特徴。ひざと腰の部分にそれぞれモーターを付け、足を踏み出す動作に合わせて力検出センサーが作動、歩行や着座、起立、階段昇降などの動きをサポートする。現行機種に比べ重量を5キログラムから4・5キログラムに軽量化した。
橋本社長は「今後はモーターの改良などでさらに軽量化を図る。ゆくゆくは高分子ゲルを使った人工筋肉に置き換えることも考えている」と普及を目指し、軽量化や簡易装着化の開発を進める。
アシストモーションに対して、かながわサイエンスパークの中核事業体であるケイエスピー(川崎市高津区)とIT企業のラックが、それぞれ3000万円ずつ出資を決めた。高齢化や予防医学、フィットネスの需要を背景に、装着型ロボの市場は今後とも拡大が見込まれる。「車いすでなく、自分の足で歩きたいという高齢者は多い」(橋本社長)。2月には神奈川県伊勢原市の大山に登山する平均年齢53歳の男女23人に身体装着させて、歩行支援効果を試す実験も行っている。
身体負担を軽減する装着ロボットは同社のほか、サイバーダインやイノフィスなど複数社が商品を販売し、それぞれ特徴を競っている。サイバーダインは病院でリハビリ効果を実証。イノフィスは量産効果と本体をアルミから樹脂に変えるなどで、販売価格を約50万円から15万円以下と大幅に引き下げた。
介護施設や福祉施設は需要はあっても、問題は価格だ。医療機器や介護保険の認定など制度を活用した販売戦略も決め手になりそうだ。