20年以上「免震」を手がけるTHK、本社ビルも支える直動技術がスゴい!

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建物を支える「直動転がり支承CLB」

東日本大震災から10年という節目は建物の地震対策再考の機会となる。揺れを吸収する「制震」、揺れに耐える「耐震」とともに注目されるのは、地面と建物を切り離して揺れを受け流す「免震」だ。工作機械などで高精度な位置決めをする直動製品「LMガイド」で高シェアを握るTHKは、20年以上前から同技術を応用した免震装置を手がける。建物と内部の人命や財産を超大型の直動機器で守る。(川口拓洋)

超大型直動機器は東京港区のTHK本社も支えている。約1万3000トンの半分を複数の超大型LMガイド「直動転がり支承CLB」で受けている。CLBは揺れを受け流す役目。十字や井げたのように組むことで、縦・横・斜めなどあらゆる方向の揺れに対応する。

「粘性減衰装置RDT」は大型のボールネジを応用しエネルギーを吸収する製品。工作機械のボールネジはモーターを付けて軸回転でナットが移動するが、免震では縦・横・斜めの揺れをナットが回転することで受ける。エネルギーはボールネジを包むシリコーンオイルが粘性抵抗で減衰する。

THK産業機器統括本部ACE事業部の小竹祐治事業部長は「これらを組み合わせることが重要。地震の周期を変える」と話す。同事業部の折居修顧問も「制震や耐震で建物は壊れないが、内部のパソコンや器具が転倒する恐れがある。加速度を抑えるには免震が良いと言われる」と解説する。

「免震モジュールTGS型」は「部分免震」を可能にする装置。LMガイドと回転ダンパー、バネを組み合わせた構成で半導体製造装置やサーバーラックを載せる。床面に敷き詰めることもでき、顧客に応じた地震対策を実現する。

「半導体関連装置ではTGSの活用が当たり前になってきた」と折居顧問は指摘する。東日本大震災を経験した半導体関連メーカーはTGSを活用した事業継続計画(BCP)対応を進める。「事前対策をしなければ復旧期間が数カ月になることもある。コストは3倍かかり、シェアも落ちた例がある」(折居顧問)。

部の自動車関連部品関連企業ではトレーサビリティー(履歴管理)を確保するため3次元測定器にTGSを活用。医薬分野でも分析装置や劇薬を保管する棚での利用が進む。

従来、CLBやRDTなどビル向けが売上高の75%を占めていたが、最近はTGSなどの部分免震装置が45%を占めるまでに成長、用途や対象物も拡大中だ。世界展開も加速しており、地震が多い台湾や中国、イタリアでの拡大が期待される。

日刊工業新聞2021年3月23日

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