中央発條がトヨタからシャシバネ受注、回復の足掛かりになるか
中央発條は7月に米国工場で新たに自動車向けシャシバネの生産を始める。トヨタ自動車から部品を受注し、生産設備の新設などで約3億円の投資を実施した。北米でシャシバネの受注を伸ばし、需要が減少傾向にあるケーブル製品をカバーする考え。今回の受注を弾みとして構造改革を進めている北米事業の業績回復につなげる考えだ。
トヨタ向けで足回りに使うシャシバネ「スタビライザー」を受注した。米国法人「チューハツ・ノース・アメリカ」の工場で、今月までをめどに人員体制などを整え、シャシバネの生産準備を進める。生産では自動化やデジタル化に取り組む。同工場はケーブルと精密バネを生産しており、これまで主力のシャシバネは生産していなかった。
北米では高級車を中心に電動パーキングブレーキ(EPB)の採用が進んでいる。EPBではケーブルが不要になるため、同社のケーブル製品の売り上げに影響が出始めているという。需要の変化に対応するため、主力のシャシバネの受注活動を積極化してきた。
北米事業は2021年3月期に、構造改革に伴う費用がかかり苦戦したが、シャシバネの量産や一層の拡販で事業体制を整える。高江暁社長は北米事業について「22年3月期以降には営業利益でプラスマイナスゼロか黒字化したい」と話す。
中央発條は自動車向けバネとケーブルを得意としており、主要取引先であるトヨタ以外の日系自動車メーカーへの拡販も進めている。国内では22年1月からマツダ向けのシャシバネを量産予定。タイではホンダ向けで部品を受注した。ケーブルの需要減をシャシバネの拡販でカバーする狙いがある。
日刊工業新聞2021年3月16日