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2700人分のデバッグ作業を新卒1人で!CygamesのAIシステムがスゴい

2700人分のデバッグ作業を新卒1人で!CygamesのAIシステムがスゴい

シャドウバースのプレイイメージ(同社提供)

Cygames(東京都渋谷区、渡辺耕一社長)は、人工知能(AI)技術でゲームデバッグシステムを確立した。AIがスタッフの代わりにカードゲームを行い、極まれに起こる不具合を探す。ゲームをするAIとゲーム環境と同一のミラー環境を構築した。2700人分の作業を新卒1年目のエンジニア1人で運用できるようになった。育成シミュレーションゲームなど適用範囲を広げていく。

研究部門のサイゲームスリサーチがシステムを構築した。まず人間のようにプレーするAIを開発した。完全に匿名化されたプレーデータをAIに学習させ、カードゲームにおける常識を身に付けさせる。このAIにランダムな要素を加えて、プレーヤーが選びそうな手よりも、広い打ち手の範囲を選ばせる。

デバッグAI用にカードゲーム「シャドウバース」のシステムと同じミラー環境を構築した。このミラー環境で900アカウント分のAIが24時間365日プレーする。

アカウント作成からプレーまで一連の流れを試してバグを探す。独立したミラー環境を構築したことで若手技術者1人で運用可能になった。

同ゲームは2500枚以上のカードがある。総当たりで検証すると2500の40乗と膨大な組み合わせになってしまう。カードの種類に加えて、加点や進化などのゲームシステムが加えられ、複雑化する課題があった。開発者にとっては制作したカードについて、日々バグの数が自動報告される。バグの量が可視化され、プログラムの良しあしを評価しやすくなった。

日刊工業新聞2021年3月11日

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