「プレステ」生みの親・久夛良木氏が率いるAIスタートアップとタッグ!山善の狙い
山善は、ソニー出身で家庭用ゲーム機「プレイステーション」の生みの親として知られる久夛良木健氏率いるスタートアップ、アセントロボティクス(東京都渋谷区)と資本業務提携した。アセントは人工知能(AI)を活用したロボット向けソフトウエアなどソリューション開発が強みで、自動化のためのロボットを扱う山善は機械商社としての販路が豊富。両社それぞれの強みを生かし、開発強化と販路拡大を狙う。
山善は今月中にアセントが発行し、新興企業の資金調達に使われるコンバーティブル・エクイティ(CE)型新株予約権を取得して資本出資する。出資額は非公表。アセントにとって企業との資本業務提携は初。調達資金の活用で研究開発を加速し、コロナ禍で急成長するロボット市場で業容拡大を目指す。
アセントはロボット導入前のティーチング(教示)に欠かせないソフトなどを手がける。煩雑な教示をせず、AIを使った事前学習により、バラ積みされた部品を正確にハンドリングできるのが特徴。時間と費用がかかる教示作業がネックでロボット導入に二の足を踏んでいた中小製造業などを支援する。
今回の提携は、両社が出展していた展示会「2019国際ロボット展」がきっかけとなり実現。アセントの久夛良木氏は「産ロボのAI化で山善とタッグを組み、強力に推進したい」とする。
山善はアセント製ソフト搭載のロボット拡販を含め、自動化対応事業で数年後に売上高100億円を目指している。中山勝人執行役員は「アセントの開発力に楽しみがある」としている。
アセントは16年の設立。久夛良木氏は18年に社外取締役、20年8月に社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した。
日刊工業新聞2021年3月5日