2025年までに数百人規模へ! 日野自動車が進めるデジタル人材育成
日野自動車は2025年までにデジタル変革(DX)を担うデジタル人材を倍増させる。デジタル技術により商用車と積み荷、運送事業者などの物流領域や整備領域などの情報を関連付けた新規事業の創出を狙う。25年度には売上高営業利益率10%(19年度実績は3%)を掲げており、デジタル化の加速による付加価値の高いサービスを生み出して利益率の底上げを図る。
デジタル人材の人数は明らかにしていないが、25年には数百人規模を目指す。人材の社内育成のほか、新規採用にも力を入れる。DX強化に向けた技術開発やマーケティングなどを担当する。デジタル化を推進する社内組織の新設も検討する。
日野自は10月に全社的なデジタル戦略を統括する最高デジタル責任者(CDO)のポストを新設。CDOにはヤマトホールディングス(HD)やイオンでIT戦略担当の執行役員を歴任した小佐野豪績氏が就いた。デジタル技術を活用した高収益な新規事業の立ち上げと業務の効率化を進める。
新規事業の創出では社外連携を拡大する。顧客となる運送事業者だけでなく、荷主や物流向けのソリューション開発を担うスタートアップなどとの連携を進めている。物流や整備の現場、積み荷の行き先の小売り現場の課題解決に直結した、デジタル技術を活用したビジネスモデルの構築を目指す。
社内でもデジタル基盤を強固にする。開発や生産、販売などの各部門間で情報共有を加速して業務を効率化する。新型コロナウイルス感染症拡大が業績に影響を与える中、デジタル化に一段と力を入れて収益性の高い事業構造にする。
CDOを設置する企業は国内ではまだ少ない。日本情報システム・ユーザー協会のまとめによると、19年度のCDO設置済みの国内企業は業種全体で4・2%。自動車を含む「機械器具製造」は4・0%に対し、「金融」と「社会インフラ」はそれぞれ13・6%、11・3%となっている。