液体ワクチンを凍結粉末化!常温管理ができる製造装置
モリモト医薬が開発
モリモト医薬(大阪市西淀川区、盛本修司社長)は、常温管理が可能なワクチンを効率的に製造する装置「連続凍結乾燥装置」を開発した。液体のワクチン製剤を凍結して粉末化する。凍結管理するワクチンと同等の生産効率を実現し、輸送や保管時の冷凍・冷蔵設備が不要。製薬会社などと連携し、新型コロナウイルスワクチンへの適用を目指す。
同装置はワクチン製剤を真空管へスプレー状に噴霧する。製剤は約3メートル垂直に落下するとともに凍結し、粒子状になる。凍結粒子は真空乾燥機に入り、乾燥機の回転に応じて水平方向に移動、連続的に取り出せる。約4メートルの乾燥機に複数のセンサーを取り付け、リアルタイムで粉末の温度や水分を管理し、効率よく生産する。
医薬品の凍結乾燥は一定量をまとめて生産する手法が一般的。ただ装置内で時間をかけ凍結乾燥する必要があり、凍結管理する製剤に比べ生産効率が約10分の1と低いのが課題だったという。また製剤が入った専用容器が装置内のどこに位置するかで温度変化が異なるなど、一様に管理するのが困難だった。
一方、凍結管理するワクチンは輸送・保管時の冷凍・冷蔵技術やコストが課題だった。粉末で常温管理できれば、高度な冷凍・冷蔵技術がない地域でもワクチンを安定的に供給できる。同社では製薬会社などを通じ、凍結乾燥ワクチンの安全性や有効性を検証する。
日刊工業新聞2021年2月10日