コロナワクチン用の超低温冷凍庫を国内メーカー4社が受注、各社最大3000台
政府が2月下旬の接種開始を目指す米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンについて、保管に必要な冷凍庫を国内メーカー4社がそれぞれ1700―3000台程度ずつ供給することが分かった。政府は約1万台を調達する方針で、PHCホールディングス(HD)、EBAC(東京都目黒区)、日本フリーザー(東京都文京区)、カノウ冷機(相模原市南区)の4社が供給。ワクチンをマイナス75度Cで保管するための小型の超低温冷凍庫で、2020年夏から政府要請を受け、台数や機種などを協議してきた。
PHCHDが約3000台、EBACが約2800台、日本フリーザーが約2300台、カノウ冷機が約1700台を供給する。超低温冷凍庫は設置が容易な70―90リットルの小型タイプで、電源は家庭用と同じ100ボルト。性能は各社ほぼ同等にそろえた。EBACのみ温度を記録するデータロガーを内蔵し、他3社は藤田電機製作所(神奈川県二宮町)のマイナス80度Cまで対応するデータロガーを使う。
政府は超低温冷凍庫を、人口を基に各自治体に割り当てる方針。2月中に1510台、3月中に1860台を配送し、残りの約6700台を4―6月にかけて配送する計画。現在は2月の配送のスケジュールや台数などについて、4社と詰めの協議を進めている。
各社は安定供給に向け、生産体制を強化する。超低温冷凍庫の世界シェア2位で、国内シェアの過半を握るPHCHDは、群馬工場(群馬県大泉町)で1月から従業員を通常時の1・5倍程度に増員した。24時間の操業を続けており、通常時の2倍程度を量産している。2月以降も同様の生産体制を続ける。
EBACは需要増を見越し、生産設備の増強と部品調達を強化した。カノウ冷機は、20年末から国内で冷却能力の検査や出荷業務の人員を増やし、需要増に対応。日本フリーザーは梱包(こんぽう)などの出荷準備を委託する外注先を増やした。