米モデルナ製ワクチン用の超低温冷凍庫、ツインバードなど4社が政府から受注のワケ
米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの保管・輸送に必要な超低温冷凍庫を、国内メーカー4社が政府から計1万台程度受注した。中旬の接種開始が見込まれる米ファイザー製ワクチン向け超低温冷凍庫と合わせると計2万台程度を5社が供給することになる。政府の超低温冷凍庫とデータロガーの調達額は100億円程度となる見通しだ。
モデルナ製ワクチン向け冷凍庫は、ツインバード工業が約5000台、EBAC(東京都目黒区)が約3000台、PHCホールディングス(HD)と日本フリーザー(東京都文京区)がそれぞれ約1000台供給する。定価は1台当たり20万―35万円程度(消費税抜き)となっている。
ツインバード工業の低温冷凍庫は自動車用プラグを搭載し、保管だけでなく接種会場までの輸送にも使用できる。容量は25リットルの小型タイプ。モデルナ製ワクチンの国内流通は武田薬品工業が担う。他3社は保管用で、各自治体の接種会場に割り当てられる。
ファイザー製ワクチン向け冷凍庫については、PHCHD、EBAC、日本フリーザー、カノウ冷機(相模原市南区)がそれぞれ1700―3000台程度供給することが決まっている。EBACが2社向けで計5800台を供給することになり、5社の中では最も供給台数が多くなる見込みだ。同社は先行接種を行う全国100の医療機関に、既に冷凍庫を発送した。
モデルナ製ワクチンはマイナス20度C、ファイザー製はマイナス75度Cでの低温保管が必要となるため、専用の冷凍庫が必要となる。一方、英アストラゼネカ製ワクチンは、2―8度Cで冷蔵保管できるため、冷凍庫は不要。
日刊工業新聞2021年2月9日