パナソニックがプラズマディスプレー技術を継承した厚さ8.1mmの「真空断熱ガラス」
パナソニックは1月中旬、家電・IT見本市「CES2021」に関連したオンラインセミナーを開き、真空断熱ガラスを紹介した。厚さは8・1ミリメートルでありながら、断熱性能は33ミリメートルの商品と同等以上。壁にも相当する断熱効果があり「ガラス張りの家もできる」(パナソニックVIG事業推進部の木村猛部長)という。
真空断熱ガラスは2枚構造で、ガラスとガラスの間のわずかな空間が真空となっている。空気層がないので屋外の熱をガラスで遮断し、空調の運転を省エネルギー化できる。
真空断熱ガラスは限られたメーカーしか実用化できていない。パナソニックは薄型テレビに使われていたプラズマディスプレーパネル(PDP)の技術を応用した。PDPと同様にガラス2枚の間を真空にした後、空気の侵入を防ぐ封着材を開発して実用化した。
AGCがパナソニックと共同し、2019年から欧州市場で真空断熱ガラスの販売している。従来の断熱ガラスよりも薄いので、古い建築物の窓枠に収まる。加えて欧州には厳しい環境規制があり、需要がある。パナソニックは14年にPDPから撤退したが、技術が継承された。思わぬ形で復活する技術が他にもありそうだ。
日刊工業新聞2021年1月29日