ソニー・パナソニック・日立・NTT…日本企業は「グループ再編」で競争力を取り戻せるか

  • 0
  • 19
創業者の井深大氏(右)と盛田昭夫氏の映像を背にするソニーの吉田社長

日本の大企業によるグループ再編が相次ぐ。米中の覇権争いや新型コロナウイルス感染拡大など経営環境の先行き不透明感が増す中で、中長期的な視座に立って競争力を強化する狙いがある。

「新型コロナが世界を変えた今、あらためて(創業者の盛田昭夫氏から学んだ)長期視点に基づく経営の重要性を感じる」。2020年5月、ソニーの吉田憲一郎会長兼社長最高経営責任者(CEO)は大規模な機構改革を発表した場でこう話した。

ソニーは21年4月に社名を「ソニーグループ」に変更し、本社管轄だったエレクトロニクス事業など各事業の運営は事業子会社に任せ、全体を俯瞰(ふかん)する体制とする。金融事業を手がけるソニーフィナンシャルホールディングスの完全子会社化も実施した。吉田CEOは「ポートフォリオの多様性を強みとするため、社名を変えグループ本社機能に特化した会社にすることが望ましいと考えた」とする。

パナソニックも22年4月に社名を「パナソニックホールディングス」とし、持ち株会社制に移行する。津賀一宏社長は「事業の競争力強化には『専鋭化』が不可欠。大胆な権限委譲を行い、自主責任経営を徹底することで、これを加速していく」と意義を語る。事業領域を絞り込み、専門性を高めることで、競争力を高める狙いだ。

日立製作所のグループ再編が終盤を迎えている。20年は、日立化成を昭和電工に売却した一方で、日立ハイテクを完全子会社化した。現在は日立金属の売却に向け入札手続きを進めており、日立建機も保有株式の半分程度を売却する方向で調整している。06年時点で22社あった上場子会社はゼロになる予定だ。社会イノベーション事業を軸に選択と集中を推し進める。

通信業界では、第5世代通信(5G)の普及や次世代通信網の開発をめぐり世界的な競争が激化している。NTTドコモを完全子会社化したNTTの澤田純社長は、その狙いとして次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」を挙げる。「グループの力を強くして世界規模での研究開発をリードし、もう一度日本発の産業を強化する方向をお手伝いしたい」としている。

1989年の世界時価総額ランキングでは、トップのNTTなど上位50社のうち32社を日本企業が占めたが、20年はトヨタ自動車1社のみだ。この衰退は、日本を代表する企業の競争力低迷を端的に示している。最近相次ぐグループ再編は、日本そのものの競争力のテコ入れにつながる可能性を秘める。


【関連記事】<考察・東芝>「日本の総合電機は日立と三菱電機の2社になる」

日刊工業新聞2021年1月14日

関連する記事はこちら

特集